牡丹皮(ぼたんぴ)・漢方医による生薬解説35
- 2019.01.05
- 生薬の種類

牡丹皮は観賞用の花で有名なボタンの根皮を用います。芍薬とよく似ていますが違いとしては芍薬が草に対して牡丹は樹木です。それゆえ、芍薬は冬に地上部が枯れますが、牡丹は冬でも地上部は枯れずに残ります。
牡丹と芍薬は薬用としてもよく比較されます。生薬の「牡丹皮」と「芍薬」は匂いも似ており、化学成分的にも共通するものがあって似た生薬ですが、牡丹の薬用部位は根の皮ですし、芍薬では根です。よって牡丹皮は「皮類生薬」であり、芍薬は「根類生薬」に分類されます。また、薬効的にも前者は駆瘀血薬の代表ですし、後者は鎮痙薬として有名です。
牡丹皮は『神農本草経』では中品に収載されています。原産地は中国西北部で、日本へは奈良時代か平安時代に薬用として伝えられました。花は単弁と重弁があり、また色も赤、白、紫、黄色など様々があり、非常に美しいため、江戸時代になると栽培が盛んに行われるようになり、栽培のための手引き書も数多く出版されました。
第17改正日本薬局方には以下のように記載があります。
ボタンピ Moutan Bark MOUTAN CORTEX 牡丹皮
本品はボタンPaeonia suffruticosa Andrews (Paeonia moutan Sims) (Paeoniaceae)の根皮である.本品はペオノール1.0%以上を含む.
牡丹皮が処方名と関係する漢方エキス剤は大黄牡丹皮湯などがあります。

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Author:新見正則 投稿一覧
1985年慶應義塾大学医学部 卒業 1998年英国オックスフォード大学医学部博士課程 移植免疫学にてDoctor of Philosophy (D-Phil) 取得 2002年帝京大学外科准教授 2013年ハーバード大学にてイグノーベル賞受賞。帝京大学医学部附属病院において国内で初めて保健診療のセカンドオピニオン外来(外科一般)を開設し、その普及に尽力してきたパイオニア。テレビや新聞などメディアでの紹介も多数。西洋医であるとともに漢方医でもあり、同科血管外科グループにおいて血管、漢方、未病、冷え症の各外来を担当。日常生活や食生活の改善指導、西洋薬・漢方薬の処方により、多くの患者の症状を改善してきた実績を持つ。