樸樕(ぼくそく)・漢方医による生薬解説102
- 2019.01.12
- 生薬の種類

樸樕はブナ科のクヌギ、コナラ、ミズナラ、またはアベマキの樹皮です。樸樕を含む漢方薬は十味敗毒湯や治打撲一方などです。十味敗毒湯は華岡青洲の『瘍科方筌』に初めて見られます。しかし、樸樕ではなく桜筎を用いています。桜筎は現在の桜皮です。一方、浅田宗伯は『勿誤薬室方函』の中で青洲の開発した十味敗毒湯の桜皮を樸樕に入れ替えました。現在販売されている十味敗毒湯には桜皮を用いたものと樸樕を用いたものの両方が認められます。
第17改正日本薬局方には以下のように記載されています
ボクソク Quercus Bark QUERCUS CORTEX 樸樕
本品はクヌギQuercus acutissima Carruthers,コナラQuercus serrata Murray,ミズナラQuercus mongolica Fischer ex Ledebour var. crispula Ohashi 又はアベマキQuercus variabilis Blume (Fagaceae) の樹皮である.

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Author:新見正則 投稿一覧
1985年慶應義塾大学医学部 卒業 1998年英国オックスフォード大学医学部博士課程 移植免疫学にてDoctor of Philosophy (D-Phil) 取得 2002年帝京大学外科准教授 2013年ハーバード大学にてイグノーベル賞受賞。帝京大学医学部附属病院において国内で初めて保健診療のセカンドオピニオン外来(外科一般)を開設し、その普及に尽力してきたパイオニア。テレビや新聞などメディアでの紹介も多数。西洋医であるとともに漢方医でもあり、同科血管外科グループにおいて血管、漢方、未病、冷え症の各外来を担当。日常生活や食生活の改善指導、西洋薬・漢方薬の処方により、多くの患者の症状を改善してきた実績を持つ。