檳榔子(びんろうじ)・漢方医による生薬解説59
- 2019.01.06
- 生薬の種類

なんとヤシ(椰子)の種です。インドやマレーシアが原産地です。ヤシの仲間のビンロウはマレー半島原産で、オセアニアからアフリカ東岸に至る広い地域に分布し、高さ20〜30mにも達する常緑高木です。ビンロウの成熟した果実の種子を檳榔子、果皮を乾燥したものが大腹皮と呼ばれます。正倉院薬物の献物帳である『種々薬帳』には「檳榔子七百枚」という記載があります。
檳榔子には駆虫作用があることがわかっており、19世紀中頃には産地から遠く離れたヨーロッパで珍重されていたようです。
第17改正日本薬局方には以下のように記載があります。
- ビンロウジAreca ARECAE SEMEN 檳榔子
本品はビンロウAreca catechu Linné (Palmae)の種子である
檳榔子が処方名と関係する漢方エキス剤は九味檳榔湯です。
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Author:新見正則 投稿一覧
1985年慶應義塾大学医学部 卒業 1998年英国オックスフォード大学医学部博士課程 移植免疫学にてDoctor of Philosophy (D-Phil) 取得 2002年帝京大学外科准教授 2013年ハーバード大学にてイグノーベル賞受賞。帝京大学医学部附属病院において国内で初めて保健診療のセカンドオピニオン外来(外科一般)を開設し、その普及に尽力してきたパイオニア。テレビや新聞などメディアでの紹介も多数。西洋医であるとともに漢方医でもあり、同科血管外科グループにおいて血管、漢方、未病、冷え症の各外来を担当。日常生活や食生活の改善指導、西洋薬・漢方薬の処方により、多くの患者の症状を改善してきた実績を持つ。