麦門冬(ばくもんどう)・漢方医による生薬解説3
- 2019.01.05
- 生薬の種類

麦門冬はユリ科の多年草でジャノヒゲと呼ばれ、その根を用います。東京のビルの谷間や路地でもジャノヒゲは生育しています。背の低い緑の長い葉の植物で、チアリーダーがもつボンボンを地面に置いたようなものです。それほど身近にある薬草です。
『神農本草経』の上品に収載されています。保険適用漢方エキス剤では麦門冬湯に含まれています。麦門冬湯は鎮咳効果が著明です。むしろ咳を鎮めるというよりも、喉のこびりついた痰による咳に対して、潤いをつけて痰を出やすくするといったイメージです。痰のきれをよくする薬です。麦門冬湯には過量に内服して不快な作用がでるような生薬は含まれていないのです。また、効果時間が短いことも多く、頻回に内服しても問題ありません。
第17改正日本薬局方には以下のように記載されています。
バクモンドウOphiopogon Root OPHIOPOGONIS RADIX 麦門冬
本品はジャノヒゲOphiopogon japonicus Ker-Gawler (Liliaceae)の根の膨大部である.

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Author:新見正則 投稿一覧
1985年慶應義塾大学医学部 卒業 1998年英国オックスフォード大学医学部博士課程 移植免疫学にてDoctor of Philosophy (D-Phil) 取得 2002年帝京大学外科准教授 2013年ハーバード大学にてイグノーベル賞受賞。帝京大学医学部附属病院において国内で初めて保健診療のセカンドオピニオン外来(外科一般)を開設し、その普及に尽力してきたパイオニア。テレビや新聞などメディアでの紹介も多数。西洋医であるとともに漢方医でもあり、同科血管外科グループにおいて血管、漢方、未病、冷え症の各外来を担当。日常生活や食生活の改善指導、西洋薬・漢方薬の処方により、多くの患者の症状を改善してきた実績を持つ。