松田邦夫先生からの拙著への推薦のお言葉

松田邦夫先生からの拙著への推薦のお言葉

漢方.jpの新見正則です。

僕の著書には、これまで僕の師である松田邦夫先生から多くのお言葉をいただいております。身にあまる光栄なお便りを、このページでご紹介させていただきます。

鉄則モダン・カンポウ

新見正則先生が、「本当に明日から使える漢方薬シリーズ」3部作(「本当に明日から使える漢方薬7時間速習コース」、「フローチャート漢方薬治療」、「簡単モダン・カンポウ」)に続く「本当に今日からわかる漢方薬シリーズ」の第1弾として本書をまとめられました。どの処方を選ぶか、一筋縄ではゆかないのが実地臨床です。その解決策や思考方法などの手助けとして生まれたのが本書です。既刊3冊とほとんど同じ内容も含まれますが、よりわかりやすく、違う角度から解説し、さらにステップアップ用ともなっています。
「外来診療での心得」で、患者さんと一緒に適切な処方を探すというのは、医師の力が抜け、この方法でやれば楽しくなるでしょう。私は十数年前から水泳を習っており、なかなか上手に力を抜くことが出来ません。最近漸く新しいトレーナーから懇切な指導を受けて力が抜けるようになり、急に水泳が楽になりました。まさにそれを教えているのが本書です。「モダン・カンポウは西洋医がリラックスして使用する立ち位置の概念」(カンポウの進化と未来 )です。
「処方の鉄則」「処方選択の鉄則」で、実際的な処方の選択法、「効果増強の鉄則」で、服用法など重要な点を述べ、さらに「思いつかない時の鉄則」「効かない時の鉄則」などは他の本にない異色の章です。昔から漢方の医書には、難しい文章を多く含むものがあり、臨床の役には立ちません。新見先生が、「治療に結びつかない言葉遊びは全く興味がない」(漢方理論をクリアに)と記されているのは全く同感です。
本書は、わかりやすいけど、内容は高度です。「生薬から眺めるといろいろなことが見えてくる」(漢方理論をクリアに)と述べています。処方の働きの理解には生薬への理解が必要でしょう。漢方治療の実際に役立つ優れた本です。既刊の3冊から読むと理解しやすいですが、この本を最初に手にする読者の方にも役立ちます。ぜひお読みください。
平成24年4月1日
社団法人日本東洋医学会元会長名誉会員 松田邦夫

本当に明日から使える漢方薬

この度尊敬する新見正則先生が「本当に明日から使える漢方薬」を上梓されることになった.漢方薬に何となく魅力は感じているが使ったことがほとんどないという方を対象に,まず,サイエンスという切り口から漢方の魅力を語り,漢方薬や漢方理論をわかりやすく説明されている.
本書に取り上げる患者さんは現代西洋医学では治らない病気や症状を持っている方で,使用薬はエキス製剤のみである.新見先生は,数処方を使用することで,4人中3人ぐらいが良くなったと感じていただくことを目標にされている.
此の本は,西洋医学を学んで来た先生方で,さらに漢方に理解を深めたいと考えている方に本当に役に立つ.かつて自ら漢方嫌いであったと明言され,テレビの名出演者でもある先生なればこその語り口.明快で面白い解説に満ちた,素晴らしい入門書であり,漢方薬を実際に使用するにあたっての優れた手引き書である.
漢方治療普及の著しい現在,本書の役割はきわめて大きいと考え,広く皆様に迎えられることを願って推薦の言葉とする.
平成22年7月
社団法人日本東洋医学会元会長名誉会員 松田邦夫

簡単モダン・カンポウ

新見正則先生が、「本当に明日から使える漢方薬7時間速習入門コース」「フローチャート漢方薬治療」に続き、3巻目として「やっぱり漢方に親しめない」人を対象に本書をまとめられました。
初めに「納得」で、西洋医学の欠点と漢方の可能性を納得し、「理解」で、漢方の短所と長所を理解することを勧めています。これは良いですね。“好きになるとあばたもえくぼ”で、漢方の入門書には、優れた点ばかり強調する本がありますが、新見先生はそうではない。良い点、悪い点を冷静に認識しようとしており、科学者として評価できます。ここで、漢方の生{しょう}薬{やく}の名前を説明しています。昔聴衆の一人に、葛{かっ}根{こん}湯{とう}を“くずねゆ”と読まれて当惑したことを思い出します。確かに漢方にどっぷり漬かっていると、薬の名前は当たり前になって、初めの頃の戸惑いを忘れている自分に気付きます。初めて漢方に目を向けられた方には、不慣れな薬の名前を少し我慢して頂くと新しい世界が開けます。漢方に対する疑問質問にクイズ形式で答えているところはとても参考になるでしょう。
次に「実践」で、試飲を勧めています。私も自分と家族に処方することから始めて効果を確かめました。ぜひご自分で漢方薬を飲んでください。“石橋を叩いて渡る”といわれますが、“石橋を叩いて渡らない”人があります。慎重さも度が過ぎると喰わず嫌い、良いものを知らないのでは勿体ないです。飲んで医師自ら効果を実感できる処方を患者さんに使う。そうすれば手応えを感じます。それはやがて患者さんの感謝を呼び、医師自身の生き甲斐につながるでしょう。さらに昔の知恵を学習し、治験例を発表するようになれば一人前です。
この本を一人でも多くの西洋医に漢方の入門書として使用して頂きたいと願っております。
平成23年7月15日
社団法人日本東洋医学会元会長名誉会員 松田邦夫

漢方ビギナー処方ドリル

漢方は,経験医学である.経験は,実際に漢方薬を使ってみて蓄積される.漢方の初心者が漢方薬をどう使うか,それに役立つのがこの本である.
新見先生は,初心者は,300例処方したら,漢方薬を使えるようになるとして,まず使ってみることを勧めている.著者の「フローチャート漢方薬処方」を読んで,実際に処方したくなった初心者向けに,ためらわずにどんどん処方してごらんなさいと述べ,実際に何を処方したらよいかをアドバイスしている.
右ページに患者さんの訴えと,問診票で漢方処方に役立つキーワード,第一印象が記載されている.この人にどの漢方薬を処方するかを自分で考える.
ページをめくると,おすすめファーストチョイスと,その他のおすすめ処方が掲載されている.処方選択のキーワードと,その後の経過で患者さんの言葉を簡単にまとめている.良くなった患者さんの言葉は医師の喜びである.
処方に役立つキーワードが増えると,処方できる漢方薬が増えるようになっている.まず素直に漢方の初心者であること,しかし患者さんが少しでもよくなるように一緒に相談しながら適当な漢方薬を探していきましょうというモダン・カンポウのスタイルで処方の自信をつけてゆくことを目標にしている.
通勤の合間などに楽しく読んで,あっという間にチャレンジできる本なので,たくさんのビギナーの先生が漢方処方をスタートしていただけることを著者とともに願って本書を広く推薦する次第である.
平成28年5月
社団法人日本東洋医学会元会長名誉会員 松田邦夫

症例モダン・カンポウ

漢方を処方し始めると効かない症例に出会うことが多くなり苦労します.教科書的なやり方では,なかなか解決しないのが実際の病人です.私も漢方治療を始めた頃は,割合成績が良いと思っていたのですが,やがて治らない症例が多くなり,自信を失いかけたことがあります.そんな時,恩師大塚敬節先生に,「治らない病人が増えるのは,君が有名になったからだ」と励まされたことがあります.ともかく理屈通りに治らない病人は多く,経験を重ねるうちに気がつくことがあります.「後は患者が教えてくれる」との師の言葉をかみしめています.
ところで,失敗例は古今東西を通じてほとんど文章としてお目にかかることはありません.本当は失敗例こそ実地臨床に役立つのです.「失敗例は示唆に富んでいて楽しい」と云う著者のおおらかさに感銘を受けます.漢方診療は治験症例の積み重ねが大切ですが,実際は試行錯誤の繰り返しであり,その中で病人の隠れた姿が浮き彫りになります.経験は医師自身を鍛え,漢方は現代医療から落ちこぼれる患者さんを一人でも多く救うことにつながります.患者さんが喜べば医師もまた嬉しい.張り合いを感ずるのです.
忙しい新見先生がまた新しい本を書かれました.正統的な知識が一貫しながら,症例を基本にして漢方の処方方法を説明した本です.毎日忙しく,書くひまなどないだろうと思う人の書く本こそ価値があります.普通の漢方テキストで見られないことが書いてあります.リラックスして読めます.とても面白く役に立つ本です.
日本東洋医学会名誉会員 松田邦夫

フローチャートこども漢方薬

本書では,新見正則先生のフローチャート漢方薬治療のこども特別編として,小児科専門医の坂﨑弘美先生との共著が実現しました.坂﨑先生の小児科専門医ならではの楽しいアイディアとおいしい工夫がいっぱい詰まっています.巻頭のクッキングレシピは,実際に食べてみるとびっくりするおいしさです.そのほかに,どんな漢方薬にどんな食材が合うか,いろいろと研究されており,読んでいても楽しい小児科の雰囲気が伝わってきます.
こどもに漢方薬を処方するとき,最大の障壁になるのが漢方薬の味です.新見先生が述べているように,「漢方薬は少々おいしくないけれども,治るためだから飲んでね! と話せば,だいたいのこどもは飲んでくれる.本当に困ったら,飲みにくい漢方薬でも飲む気になる」というのが,昔から漢方専門医の考え方でした.ですからこどもへの効果的な漢方薬の飲ませ方に言及した本は,ほとんどないといっても良いでしょう.私も,質問に対し,そのように答えてきました.しかし,現在では漢方薬が普及して広く処方されるようになりました.小児科を専門とする先生のところで,飲みにくい漢方薬を処方していると,クリニックのメンツや評判にかかわる時代です.飲ませ方の工夫が必要となってきました.
坂﨑先生は,故広瀬滋之先生の指導を受けて漢方の道に入られました.広瀬先生は漢方の名門,京都の細野診療所出身の著名な漢方専門医でした.色々と治療の工夫を創案され,私もご依頼を受け先生の会で講演したことがあります.この広瀬先生から「とにかく処方することが大事.先生が処方したらきっと効くよ」との言葉を頂いた坂﨑先生は漢方の処方件数が増えてきました.実際,その領域の専門医が処方すれば漢方は生きてきますし,より的確な効果が期待できます.そして坂﨑先生は「苦くて飲みにくい漢方薬をこども達に何とかして飲んでもらいたい」との思いから,今日まで服薬指導を色々工夫し,それを今回大公開されました.先生は「こどもへの服薬指導を熱心にするとこどもの服薬率もあがり漢方ファンが増え,ますます漢方薬が大好きになった」そうです.漢方薬を知ってから,診療の幅が広がり,毎日の診療がとても楽しいとも述べています.素晴らしいですね.
新見先生からは,漢方専門医の立場でこどもに処方する秘訣が伝授されています.漢方専門の医師のところに来られる患者さんと,小児科に来られる患者さんでは,すこし趣が変わり対応もちがっているところが興味深いです.
これまでの新見先生のシリーズの最新刊として,臨床に役立つ素晴らしい本です.ぜひ多くの先生方にお読みいただければ幸いです.
2017年
社団法人日本東洋医学会元会長名誉会員 松田邦夫

外来ナンパ術02

外来診療は患者が医師を信頼し、医師が患者に深い愛情を持つことで成り立ちます。
故大塚敬節先生は、「愛情のある言葉は、たった一言でもよい。それは患者に活気を与える」と述べています。本書は、外来診療で医師と患者がどのように信頼関係を築いていったらよいか、外来診療の達人の3人がそれぞれの立場でその極意の「ナンパ術」を披露しています。
坂﨑先生は、小児科の外来で子どもの心をつかむだけでなく、子育てに悩む家族を温かく見守る外来を実践されています。現代の孤独な子育てに悩む母親をも包み込む愛情に満ちた外来のありようが浮かび上がります。
千福先生は、漢方の流派にこだわらず、患者を治療する診療を実践されており、こうすれば患者さんがよくなるという経験の一端を披露されて、漢方の腹診・脈診に不案内の読者も面白く読めます。
新見先生は、外科の名手であった時代、「外来はデューティー」で「手術が舞台」でしたが、漢方を処方するようになって「外来が診療の舞台」になりました。さらに心の内に一歩踏み込んだ診療を実践されています。
3人の外来診療の達人の共通点は「漢方」です。漢方がつないだまったく診療スタイルの異なる3人の楽しい外来ナンパ術をお楽しみいただき、ぜひ毎日の外来にお役立てください。

平成二十九年十月
社団法人日本東洋医学会元会長名誉会員 松田邦夫

フローチャート漢方薬治療1

新見先生は,まず自分に,そして家族に使って漢方薬の効果を実感されました.私もかつてそのようにして効果を確かめました.
この本は,漢方理論も漢方独特の用語もなくてわかりやすい.しかもフローチャートで症状から処方を選んでいます.漢方馬鹿の人間から見ると実に大胆な発想です.まず最も妥当な処方選択を示し,それが効かないときに次に使う処方を示しています.こういう本こそ,実地臨床に役立ちます.
その症状に,この処方を選ぶ.最適とされる処方を選択すること,それが定石です.それは,昔から現在まで,多くの先輩が使ってみた経験に基づくもので,先人の知恵の結集です.漢方でも何でも,まず定石を使うことを覚えることが必要です.学ぶ者は,初めは定石を覚え,やがて定石をはずれて応用することを学ぶのです.初めから定石を無視しては何もなりません.
名医と云われた大塚敬節先生も,一度で処方が決まり,そのまま治癒に結びついたわけではありません.まず定石とされる処方を使う.効かなければ,次の処方を考えます.試行錯誤は漢方治療に避けられません.必要な手順のことが多いのです.
そのようにして,この本には,すぐに使える処方が用意されています.第一,小さくてポケットに入れられる.本当に良い本が出来ました.私の漢方入門の頃を思い出して,こういう本があったら良かったと思います.これから漢方薬を使ってみようとする人にお勧めします.
2011 年 1 月 25 日
社団法人日本東洋医学会元会長名誉会員 松田 邦夫

飛訳モダン・カンポウ

我が師大塚敬節先生は,昭和の代表的な名漢方医です.直接教わることができたことは幸せでした.先生は,「江戸時代の漢方医で,自分が最も尊敬するのは和田東郭である」と云っています.江戸時代は,古く中国から伝来した漢方医学が最も盛え日本化された時代です.沢山の有名な医師達がいます.そんな中から,ナンバーワンとされた医師はどんな人だったのでしょうか.
やがて,「古い医書は高価で入手しにくいが,これからこの医学を研究しようとする者にはぜひ必要である」と考えた大塚先生を中心に,優れた古医書を復刻する事業が起こりました.その最初に取り上げられたのが『蕉窓雑話』でした.解説を先生から命じられた私は驚きましたが,その機会にこの本を熟読することができました.
『蕉窓雑話』は,和田東郭の死後,弟子達が師の言葉や治験例を集めてできた書です.江戸期を代表する名医が,どのように病人を診察し治療していたかを伝えています.今から見ると,医学が未発達の時代に,病人を真心をこめて診療していた姿がよくわかります.医学が飛躍的に発達した現代でも,医療関係者は勿論,一般の人にとっても非常に参考になる名著です.
大塚先生は,「古典を読め,あとは患者が教えてくれる」と私を教えました.優れた医師になりたければ,先人の経験を学び,実地診療を通じて治療技術を高めよということです.古典は沢山あります.良い本を読むことが大切です.『蕉窓雑話』こそ,漢方医学の古典の中の白眉,最も優れた書物と云っても過言ではないでしょう.現在,本を読む人が少なくなり,ことに古典には壁があります.読みにくい,難しいということで敬遠されます.漢字の祖国中国では,簡体字しか読めないので,古書を読まないそうです.昔の人の経験や知恵には,学ぶべきことが多いのに,それを利用しないのはもったいないです.
尊敬する新見先生が,『蕉窓雑話』の訳文を書かれました.驚きかつ感心したことに,漢方用語や古典用語を使っていません.著者の言葉のように,フランス文学の訳本にフランス語が登場しないのと同じです.だから読みやすい.また解説が良いですね.著者の現代医学と漢方医学と両医学に対する深い学識に裏付けされた洞察で,原書の理解に役立ちます.この本は,お世辞抜きに面白く有用です.ぜひ多くの方に読んでいただきたく推薦いたします.
平成25年3月3日
社団法人日本東洋医学会元会長名誉会員 松田邦夫

フローチャート皮膚科漢方薬

皮膚科臨床に朗報です.このたび,モダン・カンポウの立場からの,皮膚科向け漢方薬処方解説書がいよいよ出版となりました.皮膚科の患者さんに漢方薬はとってもおすすめです.なかなかよくならないアトピーなどに漢方薬の体質改善作用が役に立つこともあります.漢方薬は食べ物の延長で,大きな副作用もなく,うまくゆけば,ステロイドなどの西洋薬をへらすことも可能です.皮膚は内臓の病気の現れとも云われ,漢方薬を飲んでからだを中から良くすることで皮膚の病気が改善することが多いのです.もともと専門の医師が,それぞれの専門知識を駆使して治療するのが現在の医療のありかたですが,これに漢方治療が加味されれば,さらにすぐれた治療成績が期待されます.とくに皮膚科の病気は,治療のむずかしいものが多いので,西洋医学を最優先として,足らないところを漢方薬で補完して,皮膚の悩みに対応してゆくのがベストです.
本書では,漢方薬の専門家の新見正則先生に加えて,チータム倫代先生が皮膚科の立場で西洋医学を優先すべきか,漢方が役立つか,実際の診療経験に基づいて指南しているのが素晴らしいです.高度医療の傍らで歴史ある漢方薬もぜひお役立てください.

2018年4月
日本東洋医学会元会長名誉会員 松田邦夫

フローチャート高齢者漢方薬

「老い」は誰にも訪れます.健康で長生きしたいのはすべての人の願いです.高齢者の虚弱は加齢に伴って起こる老い衰えた状態で対応は難しいです.しかし漢方では古来より老人を身体の弱った状態とみなして対応してきた歴史があります.本書は,西洋医学では対応の難しい「老い」について,漢方で対応する方法を,わかりやすいフローチャート形式でまとめたものです.昔からの知恵を西洋医の先生方が臨床にそのまま利用できるよう,細やかに配慮してあります.
現在,要介護の手前の状態の高齢者を日本老年医学会は「フレイル」と呼びます.何らかの対応を行うことによって健康寿命を延ばそう,という考え方が広がっています.そのような背景で,新見先生がフレイル診療に漢方を役立てることを提案しています.
新見先生は,漢方の上達のコツは,ともかく300例以上処方することと説いています.初心者が漢方になじんでいただくのに適した書籍となっています.
コラムでは,新見先生がこれまで学ばれた知識が随所にちりばめられているので,面白くお読みいただけます.
ぜひ漢方で高齢者が1日でも長く元気に暮らせるよう,本書をお読みになって明日の診療にお役立てください.

平成29年8月
社団法人日本東洋医学会元会長名誉会員 松田邦夫

128漢方処方分析

漢方は現代医学の補完医療として有意義であると著者の新見先生は考え,実際の漢方治療で手応えを感じ,それらを踏まえて出版を続けている.漢方薬の使い方はむずかしいものではない,もっと使って効果を確かめてほしい,ただ使い方をもう少し上手に,とは著者の願いである.漢方処方は生薬の足し算から使い方が導き出せると考えるのは適切であり,現代に合ったものといえる.本書は前著『3秒でわかる漢方ルール』の続編で,現時点での著者の処方の選び方を公開している.
漢方処方は,昔からの経験から生まれてきた知恵であり,構成生薬から,その処方の働きをある程度予測できる.本書では,実際に著者のルール通り漢方薬128処方を見直した結果が左ページに書かれている.右ページ上には,それぞれの処方をひと言で表すとどんな感じかを記載したので,見開き両ページの内容とあわせるとそれぞれの漢方薬のアウトラインがつかめるようになっている.さらに右ページには,保険適用,著者の解説,原典,『勿誤薬室方函口訣』の訳を掲載して,実際の臨床で使用しやすいようになっている.『勿誤薬室方函口訣』は,幕末から明治にかけて最後の漢方医といわれた浅田宗伯の名著で,口語訳引用は珍しく実に素晴らしい.実地臨床に役立ち,さらに漢方に興味をもった人にも楽しんでいただけるように構成されている.本書を広く推薦する次第である.
平成28年新春
社団法人日本東洋医学会元会長名誉会員 松田邦夫

フローチャート漢方薬治療2

新見正則先生が,「フローチャート漢方薬」の続編として本書を書かれました.超多忙の先生に執筆するひまがあるとは思えませんでしたが,本当は忙しい人の書く本こそ面白いのです.
すこし長く漢方治療の経験を重ね,多くの患者さんに接していると,時に珍しい病気に出会い,たまたまうまく治療できることがあります.とくに現代医学で難しいとされる患者さんが良くなると,本人も喜ぶし,自分も嬉しいので印象に残ります.つい人に自慢したくなります.経験例を人に伝えたり発表したりすることは良いことで,それによってお互い学ぶことができますし,勉強になります.でも,人を感心させようとするあまり,珍しい治験例に固執することは戒めなければなりません.実際には,日常よく出会う病気,ありふれた患者さんの治療例こそ,とても大切なのです.
失敗例や苦労例をまとめた前著「症例モダン・カンポウ」に少なかった漢方治療の典型的な症例の治療経過をまとめられたのが本書です.さらに中味の生薬の働きについてもわかりやすい解説を加えています.最近の漢方の解説書は,処方の使い方などの臨床応用法が多く,処方を構成する生薬の働きという基礎まで解説している書物は少ないです.忙しい臨床医家は生薬の勉強など興味がないという人もありますが,生薬の働きを知ることで漢方処方をさらに上手に使うことができるようになります.「生薬ポイント」は簡潔な説明ですが,著者の深い学識に裏付けられております.いつもの新見先生の本のように,読みやすい素晴らしい本で実際の役に立ちます.漢方薬をこれから使ってみようとする方,すでに使われている方,多くの方に役立つ本です.ぜひお読みください.
平成26年5月
社団法人日本東洋医学会元会長名誉会員 松田邦夫

フローチャートペット漢方薬

待望のペット向けの漢方薬処方解説書が出版されました.人に効く漢方薬が動物に効かないわけがありません.私も,昔の漢方医が,仕えている殿様の依頼(命令?)によって,当時ペットの死にかけた錦鯉を漢方薬で生き返らせた話とか,近年でも老衰で足腰の立たなくなった犬を漢方薬で再び歩けるようにした報告など読んだことがあります.私自身も九州某地のある獣医さんですが,老衰と血尿で死にかけた猫をかかえて諦めていたので,漢方薬を教えたところ,幸い猫は全快して,その後大繁盛した獣医さんを知っています.漢方薬は食べ物の延長で,大きな副作用もなく,症状で処方できるフローチャート式なら診断のつかない病気にも対応できます.西洋医学を中心に,足らないところを漢方薬で補完して,ペットの健康寿命を1日でも長くできるよう,漢方薬を処方してみてくださいというのが本書のメッセージです.
著者の新見正則先生は,人間に対しての漢方薬の専門家です.井上明先生は,獣医で臨床腫瘍学をご専門に全国の動物病院で腫瘍診療を行っています.動物もがんになる時代になりました.透析治療にかかる動物もいます.高度医療の傍らで歴史ある漢方薬をぜひお役立てください.
2018年4月
日本東洋医学会元会長名誉会員 松田邦夫

3秒でわかる漢方ルール

漢方を使い始めると,たくさんの有効例を経験します.そんなときに漢方のルールが,わかりやすく理解できれば,診療の役に立ちます.新見先生がまた本を書きました.「3秒でわかる漢方ルール」なんてあるのでしょうか? 漢方は難しいものだ,そう簡単にマスターできるものではない,少なくとも10年ぐらいは苦労しなさい,と云われたことはありませんか.そんなことはない,やろうと思えば漢方治療はすぐに始められる,そういう便利な方法がある,自分は10年かかって現在に至ったが,そうではない近道を伝授しましょうと新見先生は云います.そこには,せっかく漢方に興味を持った人に,難しい“理論”を押しつけて嫌いになる人を減らしたいとの著者の願いがこめられています.
この本の趣旨は,「生薬から漢方の世界を推論する」ことです.経験則によって導かれる漢方にルールがあることを著者なりの方法で導いています.仮想病理概念を排除するため,生薬レベルからのルールです.生薬から漢方の魅力に迫ることは,楽しく,合理的で,かつ漢方の曖昧感が払拭できます.生薬レベルからの法則を会得すれば,短時間で漢方薬の性質を理解できると著者は説きます.漢方薬の性質が僅か3秒で合理的に理解できる,ビッグデータの利用法と同じく,因果関係は考えず相関関係を調べることができる,複雑な漢方の世界に法則性を導きだそうと云うものです.こういう方法もあるということで,まだ進化の途中だそうですが,どんな相関を考えたのか,この本をご覧頂きたいと思います.
生薬の性質などから漢方処方の働きを推論することは,知っているととても役立ちます.生薬一つ一つの主要な働きを知ると,漢方処方の働きがわかるようになります.漢方処方の効能効果を知ることは一般に行われる勉強方法ですが,構成生薬の顔ぶれをみて処方の働きを知ることは一段上の勉強です.大塚敬節先生は,漢方を本当に学ぼうとするなら,まず生薬を勉強せよと教えました.しかし,多忙な臨床医家は,生薬の勉強までは面倒くさいと尻込みしたくなります.でもこの本を読むと,そんなことはない,生薬から漢方を理解することができると納得できます.処方の法則性を見いだそうとするのは,一段上のレベルの勉強ですが,実は面白い,実地に役立つことです.いつものように新見先生らしさが出ている楽しい有用な本です.ぜひ多くの方に読んでいただきたく推薦いたします.
平成26年5月
社団法人日本東洋医学会元会長名誉会員 松田邦夫

フローチャートがん漢方薬

本書は,がんの補助医療として,またがん治療の副作用対策に,どのように漢方を取り入れたらよいかを,がんの病期・副作用別にフローチャート形式でまとめたものです.全体を通じて新見先生の「最先端のがん治療で限界を感じたとき,希望を失わないために漢方薬を使ってはどうか」という強いメッセージが込められています.
今ではがんの診療は非常に進歩し,治せるがんも増えています.しかし,ひとたび「がん」と診断されれば,患者は肉体的にも精神的にも厳しい状況に置かれます.著者は,そのようなときにも漢方薬でまず闘う気力をつけるように,そしてがんと闘うためにできることをたくさんすれば,奇跡が起こることもあると説きます.そのように希望をつなぐことがなにより大切だと言います.
私の母は,60代で悪性の胃がんを発症して手術を受けましたが,余命は長くて数年と云われました.そこで師の大塚敬節先生の診断を受け,漢方薬を飲んでその後20年生きました.解剖で全身にがんの転移がありましたが,生前はまったく症状はなく元気でした.
がんの苦しみを少しでもやわらげ,最先端の化学療法の副作用に耐えられるよう患者をサポートするために,また,緩和医療を開始しても患者が希望を失わずに最期までがんばれるように,ぜひ本書を読んで漢方薬を明日の診療に役立てていただきたいと願います.
2017年3月
社団法人日本東洋医学会元会長名誉会員 松田邦夫