モダン・カンポウ さらなる勉強のヒントとは

モダン・カンポウ さらなる勉強のヒントとは

漢方のアナログ感に馴れること 現代医学は特にデジタル化している

現代西洋医学は150年間でものすごい進歩を遂げました。検査や診断装置の進歩も素晴らしいです。それらはデジタル的に結果を叩き出します。ガイドラインも出来る限りデジタル的な判断で対処できるようになっています。それが、医療を標準化し、だれでも平均以上の医療を提供できるようになる方法だからです。一方で漢方は昔の知恵でアナログです。重量が唯一デジタル的ですが、時計も温度計もありません。そんなアナログ感覚に馴れることが大切です。

漢方はコンセンサスガイドラインの集積と叡智の結晶

医療のガイドラインにはコンセンサスガイドラインエビデンスに基づくガイドライン(EBMガイドライン)があります。カンポウは過去の経験に基づいた知恵の集積ですのでコンセンサスガイドラインです。コンセンサスガイドラインとは、大御所の先生のご意見ということです。経験に基づく漢方処方ではこれが拠り所です。もちろん多くの場合にそれは正しいのですが、希に間違うこともあるのですね。

コンセンサスガイドラインには誤りがある。矛盾の宝庫に映る

EBMのすばらしさは、どんな若い先生でも、大御所の意見に楯を付けることです。デジタルで証拠がでますので、大御所も抗えません。ところがアナログの世界のコンセンサスでの話はよほど間違っていない限りは、どれも正しいのです。ですから、多数の意見が並立し、矛盾しているように映ります。カンポウの世界では特別に的外れでなければ、どれもオーケーと言うことです。そんなアナログ感を理解しながら、いいとこ取りをすることが上達の近道です。

最初は白紙で漢方に取り組もう。ステップアップでは批判的に見よう

カンポウを使い始めるときは、西洋医学的な批判精神は横に置いて漢方を使用しましょう。患者さんと一緒に『フローチャート漢方薬治療』を使いながら適切なカンポウを探していく対応がベストです。こんな薬が効くわけがないとか、効くはずがないと頭から否定しないでまず使用するのです。批判的精神はお腹の中にしまいましょう。しかし、ある程度カンポウが効く経験をして、カンポウは悪くないと納得した後は、批判的に漢方を見ることも大切と思っています。

漢方薬は江戸時代の急性症にはあまり役に立たなかった?

この意見に半分賛成で半分反対です。まず、18世紀までは東洋、西洋を問わず、医療は未熟で、感染症には太刀打ちできず、公衆衛生という考え方もなく、ワクチンもなく、人々は死をある程度受け入れていたのではと思っています。1861年、ルイパスツールが栓をしたフラスコでは肉は腐らないということを発見して、西洋医学の病気の概念であった自然発生説が全てではないとわかりました。200年前までは西洋医学も未熟だったと思っています。

打率を上げたくなれば、トラディショナル漢方を勉強しよう

漢方の名医も、処方に診断させながら、処方を変更しながら、患者さんを治療しています。それは昔の記述を見れば、よくわかります。フローチャート的考え(定石)は当然に持っていたのですね。そのカードを切る順番を経験という知恵で変えるのが楽しいのですね。カンポウは一生勉強です。 最初はカンポウの女神様が付いているのか、たくさんの有効事例を経験します。ところがその後効かない例を経験します。そんな時に是非昔の知恵も勉強して下さい。

古典を読もう。新しいものから順に古いものに向かって 傷寒論は最後に

古典を読むことはある意味楽しいです。最初から1800年前の傷寒論を全部読むのではなく、まずは大塚先生の著作、そして浅田宋伯の勿誤薬室方函口訣尾台榕堂の類聚方広義、そして傷寒論金匱要略を読めば素晴らしいですね。ぼくは本をパラパラと見るのも好きです。薄いか厚いかも楽しいですね。本草綱目などは数十冊の書物です。傷寒論は相当薄いですね。目次だけを見るのも楽しいですね。まずはさらっとページをめくるのが楽しいですよ。

古典を読もう。でも古典は絶対か?昔からいいとこ取りをしている

日本漢方のバイブルは傷寒論です。広い意味での傷寒論は、急性期疾患を扱った狭い意味での傷寒論慢性疾患を扱った金匱要略を示しています。約1800年前に出来たと言われています。傷寒論を特に大切だという人もいれば、傷寒論をあまり大切に思っていない人もいます。モダン・カンポウの立ち位置は良いとこ取りです。臨床で困っているときに役立つのであれば何でも使用しましょう。