薬剤師の工場見学記〜ツムラ株式会社・茨城工場〜

薬剤師の工場見学記〜ツムラ株式会社・茨城工場〜

茨城県、牛久観音のすぐそばにある、株式会社ツムラ 茨城工場を、新見正則先生と見学しました。

株式会社ツムラ

新見先生は3回以上見学されているそうですが、私は初めての見学です。世界一の漢方工場、広くてとてもきれいでした。工場は、原料となる生薬を工場の中に運び込んだ後は、すべて自動化されています。制御室で多くの方が、エキス製剤ができるまでを、24時間3交替で見守っています。なんと土日も稼働しているそうです。とてもクリーンな環境の中で、ツムラの保険適用エキス剤は製造されています。今日は、小青竜湯を作っていました。これから花粉の季節なのでたくさん処方されますね。

ツムラ漢方記念館は、漢方・生薬を学ぶ・知る・楽しむというコンセプトで建てられています。とてもきれいな建物です。入口、漢方薬の原料となる生薬24種類の起源植物の花の写真の前で記念撮影しました。

起源植物の花は、美しいものが多いです。自然の中の生薬という本は、きれいな花の写真とともに解説があり、私のおススメの1冊です。撮ったお写真は、DVDにしてお土産でいただきました。

本日は、館長の田村さんがご案内役を務めてくださいました。とても丁寧にご説明してくださいました。加えて新見先生の解説付きでとても贅沢な見学となりました。次回は、薬草園に花が咲いている時期に、皆さんもお誘いしてお伺いできたらと思います。

実は、新見先生は漢方の歴史についてもとても詳しくて、漢方医学の歴史のコーナーでは、沢山解説してくださいました。きちんと古典も読んだうえで、読んでも処方は変わらないとおっしゃっています。それを信じて、私は基本古典は省略しておりますが、なんだかんだと始終解説されますので少し気になってきています。「喫茶養生記」という書籍が展示されていたのですが、とても可愛い名前で気になりました。とても興味津々です。

漢方は基本煎じ薬ですから、自分にあうお茶を見つけたら養生になるのはある意味当たり前のような気もします。私もちょっと凝り性なので調べてみました。ブリタニカ国際大百科事典によると、

喫茶の効能や製法を述べた漢文体の書。上下2巻。禅僧栄西が承元5 (1211) 年著述。栄西が鎌倉下向の際,将軍源実朝に献上したもの。茶は仏教とともに中国から伝来したが,平安時代には上流貴族や僧侶の間で薬の一種と考えられ,長寿の妙薬とされていた。栄西も本書で茶の製法や効能を説き,喫茶による諸病の治療法を述べ,健康管理の必要を主張している。『群書類従』『大日本仏教全書』に収められている。

と解説されています。「喫茶養生記」についてはこちらの記事がわかりやすいです。

工場は、原料の生薬を運び入れたら、すべて自動で行えるようになっています。生薬は、選別加工された状態で保管されます。実際に製品を作る際に、初めて切裁されます。切裁せずに保管すると、嵩が非常に大きくなってしまい、保管スペースをたくさん取ってしまうのですが、これは、酸化などの品質の劣化を防ぐためです。この茨城工場では、主力の40処方と紫雲膏を製造しています。ツムラでは128処方のエキス剤が製造されていますが、残り88処方を静岡工場で製造しています。1処方を5日間くらい製造したらきれいに洗って次の製品を製造します。今日は、小青竜湯を作っていました。一番驚いたのは、工程の中で錠剤を作ることです。錠剤を作ってから破砕しています。こうすることで、均質の顆粒ができるそうです。2017年のベスト5は、大建中湯、抑肝散、補中益気湯、六君子湯、芍薬甘草湯でした。そして、伸びているベスト5処方は、五苓散、加味逍遙散、麦門冬湯、補中益気湯、芍薬甘草湯で、治療ガイドライン掲載をめざしエビデンス構築を行っているそうです。

今年ツムラは125周年です。いろいろな歴史があり、展示も非常に工夫されていました。中将湯の看板もいろいろな年代のものが展示されていました。丸いのが可愛いなと思いました。中将湯は、発売開始が1893(明治26)年、悲劇の皇女「中将姫」が考案し、創業者の母の家に伝えられていた家伝薬です。中将湯のパッケージの中将姫マークも時代の変化にともない微妙な描き分けがあるのですが、私のお気に入りは、私が生まれた年のものです。この中将姫の物語、絵本もありました。女性のさまざまな不調に使われます。母娘にわたって使っている方もいらっしゃいます。子どものころ、お母さんが煎じていた匂いを覚えていて、体調が悪くても匂いをかぐと元気になるそうです。錠剤のラムールもありますが、最近はやはり煎じて香りがするものがいいのではと考えています。中将湯をご購入されるお客さまとは大体長いお付き合いになり、私にとっては思い出深い薬の一つです。

中将湯のロングセラー物語は、こちらから是非お読みください。

いつも希望をかなえてくださる新見先生に心より感謝いたします。そして、ご準備くださいましたツムラ関係者の皆さま、ご案内くださいました館長の田村さん、本当にありがとうございました。

新見先生の工場見学記はこちら:漢方医の工場見学記〜株式会社ツムラ・茨城工場〜