ご安心ください!流産になる日本の漢方薬はありません【漢方医が解説】

ご安心ください!流産になる日本の漢方薬はありません【漢方医が解説】

漢方薬の副作用で、妊娠が失敗してしまう? そのようにお考えの方がいらっしゃるのではないでしょうか?

漢方薬のふるさと中国の「中医学」では和漢(日本の漢方)に比べて使用する生薬量が多いです。帰脾湯などは10倍の違いがあります。処方量の根拠は、中医学では中医科大学の教科書が中国政府によりほぼ統一されています。それを見れば判然とします。本邦の漢方薬の量は、OTC製剤は一般用漢方製剤製造販売承認基準があり、また医療用漢方薬では製造メーカーの説明書に記載があります。

中医師が勉強する基本的な教科書には生薬は約550種類掲載されています。一方で日本における保険適用漢方エキス剤を構成する生薬は約100種類です。和漢の5倍もの種類を使用しているのが中医学です。その中には妊娠に絶対禁忌のものも含まれています。

●中医学における妊娠中禁忌薬
水銀、砒素、雄黄、軽粉、斑蝥、馬銭子、蟾酥、川烏、草烏、藜芦、胆礬、瓜蒂、巴豆、甘遂、大戟、芫花、牽牛子、商陸、麝香、乾漆、水蛭、虻虫、三稜、莪朮

しかし、上記の妊娠禁忌薬は和漢の生薬にはひとつも含まれていません。そして、和漢の保険適用漢方エキス剤で今までに流産早産した報告は1例もありません。つまり、流産に繋がるような和漢薬はひとつも存在しないのです。中国では約10倍量の生薬を使います。よって流産に繋がらないない安全な薬はありません。

※妊娠の時期や前後のタイミングによって、「使える漢方薬」や「どちらかというと飲まない方が勧められる」ものがあります。医師に相談のうえ服用なさってください。

では、昔は望まない妊娠の時はどうしたのでしょうか。多くは生んで、そして生まれなかったことにしたそうです。それが母体にとって一番安全だったのです。もしも流産を望むときは、中条流という流派が江戸時代にはありました。子宮口から道具を入れて掻爬したそうです。また、針を使って堕胎したとも言われています。現在は超音波がありますので、卵子の採取も、胎児の羊水検査も安全に施行可能です。しかし、闇雲に道具を用いて堕胎することは相当に危険でした。だからそこ、産み落として、そしてこの世に生まれなかったことにしたのです。

江戸時代のいろいろな風習も実ははっきりしません。印刷と紙が普及しても、すべてを書き残していないのです。今であれば、グーグルにほぼ全ての情報がアップされ、保存されているといっても過言ではありません。しかし、高々200年前の事情も実は不明です。

わかりやすい例は生理用品で、僕は昔から江戸時代の生理用品に興味を持っていました。ある人は綿を子宮口に詰めたと教えてくれました。ある武道の名人は、武家では陰部をずっと占めることができたので、生理がひどい日以外は、膣を閉めて暮らしていたと教えてくれました。現代の女性武術家に聞いたところ、ちょっと無理かなという返事をもらいました。そして、医史学の第一人者で、かつ女性である、酒井シズ先生との会食のときに、なんとこの質問をしてみました。すると「詳細はわかってない」との御返事でした。

情報が今の様に電子化できれば、劣化しないで、かつほぼ永久に格納することができます。しかし、それがかなわない時代の本当のことは実は解っていないという当たり前のことが腑に落ちたのです。