ステロイドと漢方薬の違い・自己免疫疾患「膠原病」を例に

ステロイドと漢方薬の違い・自己免疫疾患「膠原病」を例に

ステロイドは一般的にはステロイドホルモンのことで、腎臓の上に貼り付いているような副腎という小さな臓器から分泌される副腎皮質ホルモンのひとつです。内服ではプレドニゾロン(PSL)が使用されることが多く、点滴ではメチルプレドニゾロンなどが使用されます。

甲状腺ホルモンと同じく内服でも効力があるホルモンです。一方で血糖値に関係があるホルモン、インスリンは内服では効果がなく、注射が必須です。

漢方薬はステロイドの代替品にはまったくなりません。ステロイドが登場したときに、ステロイドは夢の薬剤と誰もが思ったのです。だからこそ、1950年にノーベル賞に輝いたのです。

ステロイドには炎症を抑える作用があります。免疫を抑える作用があります。そして抗腫瘍作用もあります。本当に魔法の薬なのです。治療薬がない当時、関節リウマチで歩けなかった患者さんがステロイドの投与で、翌日には歩行が可能になったのです。

そんな夢の薬剤ですが、問題は長期投与時に生じる副作用でした。そしてその副作用に対する懸念は現在も続いています。長期投与での主な副作用は、副腎機能低下、骨粗鬆症、高血圧、高脂血症、白内障、緑内障、易感染性、糖尿病、丸顔、中心性肥満、消化性潰瘍などなどです。本当に多彩な副作用が生じます。

膠原病は、別名、自己免疫疾患と言います。免疫とは感染症などに一度罹ると二度と罹らないことを言いました。現在でも麻疹(はしか)、風疹(三日はしか)、水ぼうそうがそんな疾患に該当します。昔は、天然痘から生き延びると、その後天然痘には罹りませんでした。天然痘の死亡率は40%とも言われていました。そこで天然痘の膿をほんの少し元気な時に接種する人痘が昔から行われていました。

しかし、人痘は有効でしたが、人痘によって重篤な天然痘を発症し命を落とすこともあったのです。そこでジェンナーが人痘ではなく牛の天然痘の膿を接種することを思いつき、そして実行し、大成功を収めました。これを種痘と言います。

死亡率はほぼ皆無で、天然痘の予防効果は抜群だったのです。ジェンナーが種痘の人体実験を行ったのは1798年と言われています。そして種痘はあっと言う間に世界に広まり、そして世界保健機関(WHO)は1980年に天然痘撲滅宣言を出しました。世界中で天然痘が征圧されたのです。種痘は最初に開発されたワクチンで、最良の効果を叩き出したものなのです。

体には免疫系があります。これは自己と非自己を認識するのです。自分でないものが非自己で、本来、非自己を攻撃するように体はセットアップされています。むしろ、自分を攻撃する細胞を除去するシステムが出来上がっているのです。最初は、胸骨の後ろにある胸腺という臓器で自分に反応する細胞を除去します。その後は自分を攻撃する細胞の能力を弱めるシステム(免疫制御システム)が稼働します。

そんなシステムが破綻した結果のひとつがアレルギーです。免疫系が活発になっているので、普段はなんの変化も起こさないタンパク質に反応していまいます。花粉症もアレルギーですね。そして自分への攻撃を控えさせている免疫制御システムが破綻すると、通常は非自己のみを攻撃するシステムが自分を攻撃するようになります。これが自己免疫疾患で、別名膠原病です。

ですから膠原病にはいろいろなパターンがあります。病名で言うと、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、皮膚筋炎、結節性多発動脈炎などです。そしてそれらを複数患うことも珍しくありません。いろいろな臓器に対して自己免疫疾患は成立します。ですから、自己免疫疾患はどの自己に反応するかで、ある意味無限の病名の可能性が湧き出るのです。

さて、膠原病の治療は免疫の抑制です。つまりステロイドの出番になります。ステロイドは本当に夢の薬です。専門医の指導下に使用すれば、使用しない時に比べると遙かに御利益があるのです。しかし、副作用も前述のようにいろいろです。そこでステロイドを減量するためにいろいろな工夫がなされます。

自己免疫疾患で最近使用が急増し、ステロイドに続く頻用薬となっているものがメトトレキサートです。メトトレキサートはそもそも抗がん剤として登場しましたが、抗がん剤は免疫抑制剤の一面も持っているのです。メトトレキサートの自己免疫疾患への使用が最近は頻用されています。特に関節リウマチではメトトレキサートが関節破壊を防止するためのファーストチョイスになっています。

最近は、生物学的製剤が自己免疫疾患には著効しています。2018年にノーベル賞を受賞した本庶佑先生はPD−1というシグナル、共同受賞したジェームズ・アリソン氏はCTLA-4というシグナルを発見しました。PD-1やCTLA-4、またそれ以外の免疫制御シグナルに特異的に作用する薬剤が開発され、生物学的製剤という名称で呼ばれ、自己免疫疾患の治療に大活躍しています。

夢の薬ステロイドの副作用を減らすために、いろいろな薬剤が開発され、そしてそれらを複数使うことで、自己免疫疾患の治療はこの20年で劇的な進歩を遂げています。

漢方薬の直接の出番は自己免疫疾患、つまり膠原病に対しての効果はありません。しかし、ステロイドを減量するには、僕は柴苓湯が有効と思っています。ステロイドを飲んでいる方に柴苓湯を併用するとステロイドの減量のスピードが速くなると感じています。また、ステロイドを止めた後にも柴苓湯を内服していると、再度ステロイドのお世話になる頻度が少ないと思っています。是非、ステロイドの副作用防止のためにも、漢方を併用して下さい。

[amazon_link asins=’B00F4MEUSC’ template=’CopyOf-ProductGrid’ store=’stretchpole07-22′ marketplace=’JP’ link_id=’23ab22af-27f1-42a2-9e72-54733dbfeadb’]