汗かきの原因と漢方【西洋医×漢方医のコラム】

汗かきの原因と漢方【西洋医×漢方医のコラム】

汗かきであることを気にしている方も多いです。汗かきの原因は大きく3つです。1.正常、2.ストレス、緊張、不安、3.病気+おまけで薬剤です。

正常なとき

まず、健康なのに人より汗をかくからと気にしている人が少なくありません。汗をかけないよりは、気持ち良く汗をかける人の方が健康です。運動をして、気持ち良く汗がでる体をつくることも大切です。汗をかき慣れている人の汗は、なめてもしょっぱくないですよ。また汗をかき慣れていない人の汗はしょっぱいのです。これは僕が自分で金槌から、佐渡のトライアスロンを14時間で完走するまでの過程で実体験を含めて解ったことです。

ストレス、緊張、不安

ストレスや緊張、そして不安によっても汗をかきます。いわゆる冷や汗というものです。人前で話すことが慣れていないのに、スピーチをお願いされたりするとこんな冷や汗をかきます。これも別に病的なものではなく、自然な人としての防衛本能です。

病気

病気で嫌な汗をかくことがあります。僕達は常にそれを見逃さないように診療しているのです。

感染症は高熱、または微熱が持続し、そして発汗します。結核などもそうです。多くの感染症は血液中の白血球やCRP(C反応性タンパク)が高値をしめしますが、それらが正常のこともあるので、注意が必要です。甲状腺機能亢進症は代謝が亢進するので、発汗、痩せ、疲れやすい、動悸などを訴えます。診断は甲状腺刺激ホルモンや甲状腺ホルモンの測定で迅速、簡便、確実に行えます。

褐色細胞腫は甲状腺機能亢進症に比べると遙かに困難なことがあります。副腎という腎臓の上にへばりついているようなホルモン産生臓器の腫瘍です。カテコールアミンという戦闘態勢を整えるイメージのホルモンで、発汗、頭痛、吐き気、高血圧などを呈します。診療医が疑って検査をしないと見逃す機会の多い病気です。副腎以外に発生することが10%程度あり、この場合は益々診断が困難になります。

膠原病は全身の免疫異常を来す病気で、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、皮膚筋炎、血管炎などですが、それぞれが重なった病態も少なくありません。発熱、全身倦怠感、関節痛、筋痛、体のこわばり、発汗などが症状です。白血球やCRP(C反応性タンパク)、抗核抗体、リウマチ因子の測定などで、まず病気を疑い、そしてそれぞれの病気に特徴的な検査に進みます。

低血糖状態は冷汗を呈します。

インスリン産生性のがんは、インスリノーマと呼ばれ、発汗、脱力、震え、動悸、異常行動などが症状です。糖尿病治療中の人のインスリン過剰使用、またはインスリン投与後に食事をしないことなども低血糖の原因になります。

更年期障害はもっとも遭遇する発汗の原因です。病気とも言えないような訴えのこともあります。自律神経失調症も更年期障害と同様、よく遭遇する発汗の原因です。むしろ通常の発汗を病的と思い込んで苦労している人もいます。

がんは常に、異常な発汗の時には疑われます。がんの可能性も有り得ると心して診療にあたっています。しかし、発汗が主な訴えで来院するとこは極めて稀です。薬剤でも発汗します。抗うつ薬による発汗もあります。痛み止めのオピオイドの離脱時にも発汗を生じます。アルツハイマー病に使用されるアリセプトの過剰投与で発汗を生じることがあります。

漢方の出番は、何と言っても更年期障害と自律神経失調症による発汗でしょう。ファーストチョイスは加味逍遥散(かみしょうようさん)で決まりです。次に、女神散(にょしんさん)、抑肝散(よくかんさん)、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)が並びます。汗だけを引かせるのであれば、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)や白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)も有効です。