妊娠を希望する女性が気を付けるべき風疹抗体価【西洋医×漢方医のコラム】

妊娠を希望する女性が気を付けるべき風疹抗体価【西洋医×漢方医のコラム】

少子化が叫ばれる一方で、子どもが欲しくてもなかなか妊娠しないという方も増えています。今回は、妊娠を希望する女性が気をつけるべきこと、”風疹抗体価”について解説します。抗体価とは、抗体(体内に侵入してきた病原体に対抗する物質)の数値で、低いほど感染のリスクが高まります。

風疹について

妊娠4週の女性が風疹に罹ると生まれてくる赤ちゃんに50%以上の確率で先天性風疹症候群が発症します。風疹とは別名が三日はしかです。感染して2〜3週間ほどで、体のだるさ、発熱、赤い発疹、首や耳のリンパ節の腫脹などが数日続きます。命に別状があることはなく、一度感染すると一生涯免疫を獲得すると言われていました。一度罹ると二度と罹らないと言う意味です。免疫があるかないかは採血をして風疹の抗体価を計ると簡単にわかります。また、風疹ウイルスに感染しても、20%前後は症状がでない不顕性感染という状態で感染を乗り越えます。この期間は発症していないが他人に感染させる可能性があるという意味です。

先天性風疹症候群とは、妊婦が妊娠初期に感染すると、難聴、心臓疾患、白内障、心身の発達障害を伴なう赤ちゃんが高頻度で産まれるのです。

風疹ワクチンについて

さて、わが国は命に別状がない風疹に対してワクチンで対応しています。1962年生まれ以降の女性には中学生時にワクチンの1回接種が行われ、1979年生まれの以降の男子にも中学生時にワクチン接種が行われています。それ以降は幼児期の1回接種になったり、また2回接種になったりと、接種時期や回数が変更されています。

問題は、ワクチンを接種する時に体調が悪いと、ワクチン接種を行わないことがあります。そしてその後もワクチン接種を行わないと抗体ができません。昔は風疹は誰もが罹る病気でした。そして命に別状がないので、子供を複数持っている親などは、一度で一家の風疹感染が終了するように、兄弟姉妹を敢えて一時期に感染させる強者(つわもの)もいました。

たくさん風疹が流行っていると、ほぼほぼ全員が自然感染します。自然感染が一番強く抗体を誘導できます。そして、始終風疹に暴露されると、免疫が弱くなっても、つまり抗体価が少なくなっても、また風疹に暴露され自然感染し、そしてある程度抗体があるので症状がでない不顕性感染で終了します。そして知らず知らずのうちに、感染を繰り返し抗体価を終生維持できたのです。これを免疫力維持のためのブースター効果といいます。

ところが、ワクチンの効果で風疹の流行はなくなりました。むしろ、風疹が発生すると一大事です。昔は、皆が自然感染した病気に対してウロウロする世の中になりました。それは社会全体として風疹の流行がなくなったので、ブースター効果も働かなくなったのです。どんどんと抗体価が減少します。つまり抗体価が高くないひとが実は相当数存在するのです。その中に妊娠を希望する女性も含まれています。

大切なことはひとつです。妊娠を希望する女性は採血をして自分の抗体価を知り、そして低ければ妊娠していない時にワクチンを打つべきなのです。そうすれば先天性風疹症候群を防ぐことができます。

別の意見もあります。社会全体がワクチンを接種すればOKという意見です。もちろん異論はありません。風疹抗体価が低い男子もワクチンは打つべきでしょう。

ところが、飛行機が普及し、海外からの旅行者は3000万人を超えるまでになりました。海外にはワクチンを接種していない国も多数あります。そして風疹が発症するのは感染してから2〜3週後です。すると空港の検疫を風疹に感染した旅行者がすり抜けることは防げないのです。

わが国ではワクチンのほぼほぼの普及で、ある意味強力な風疹の感染力に対する抵抗力が脆弱な社会になりました。ところが、外国から風疹が持ち込まれることを阻止できないのです。つまり、一番大切なことは妊娠を希望する女性は自分の風疹抗体価を知り、そして感染を防ぐ抗体価を下回っている時は、ワクチンの接種がマストです。この簡単なストーリーを肝に銘じて下さい。

妊娠4週の妊婦が風疹に感染すると50%以上の割合で先天性風疹症候群の赤ちゃんができる。だから、風疹抗体価が低い男子はワクチンを打ちましょう。そんなキャンペーンがあります。間違ってはいませんがシックリきません。ワクチンを打っていない国からの旅行者が急増している現状では、なんとなく違和感がありませんか。

漢方薬にワクチン効果はありません。急性発熱性疾患には、麻疹や風疹には升麻葛根湯(しょうまかっこんとう)で対応しました。感染して、そしてなるべく早く治ることを目指したのです。西洋医学の発達で御利益を得られる現代です。妊娠可能年齢の女性は必ず風疹抗体価のチェックをしてくださいね。最近は、さくらウイメンズクリニックの顧問をやっています。そんな指導も僕はやっているのですよ。

升麻葛根湯(しょうまかっこんとう)-ツムラ