松田邦夫先生から学ぶ漢方 No.4【中山今日子先生寄稿】

松田邦夫先生から学ぶ漢方 No.4【中山今日子先生寄稿】

生薬の香り

匂いは大切です。松田邦夫先生は、「子供は正直」とおっしゃいます。医院に来て『いい匂いね』というお子さんは、効果があることが多いそうです。『変な匂い』というお子さんがいらっしゃった時には、薬が効きにくいお子さんが来ちゃったなぁと思うそうです。漢方薬の香は気持ちを落ち着かせる効果があるそうです。この話はよくしてくださいました。診療所全体が、漢方薬のいい香りに包まれて、松田邦夫先生のあの語り口とともに大変癒されます。

このお話を伺うといつも思い出す患者さまです。<中将湯>という一般用の婦人薬として使われる煎じ薬(生薬製剤)があります。いつも仲良くご夫婦でお買い物にいらっしゃるお客さまがいらっしゃいました。奥さまが更年期障害っぽいと使っていました。ご主人が、「煎じている時の香りだけで、飲まなくても効いていると思う」とよくおっしゃっていたことを思い出します。「確かに母がいつも煎じていたのと同じ香りだと思うけど、あんなに喧嘩していたのに同じ薬がいいのかなぁ」といつも笑っていたのが印象的でした。

寺澤捷年先生の桂枝の香りの話*もとても興味深く、エキス剤をお湯に溶かすのは手軽にできますが、やはり煎じ薬も是非試していただきたいと思います。

*寺澤先生の桂枝の香りのお話は、香粧品について学ぶ会に寺澤先生もいらっしゃっており、演者ではなかったのですが、フロアからご発言されてとても印象に残っていました。メディカルハーブについて学んでいた頃です。「和田啓十郎著『医界之鉄椎』と漢方の課題」と題した講演でもこの事に触れています。(P946あたり)

1+1≠2ではなくて3にも5にもなる

よく、新見正則先生の講演会でも、「最高何剤まで処方したことがありますか?」とか、「お勧めの併用処方を教えてください」などとのご質問を受けることが多いです。店頭でご相談を受けて漢方薬を販売する場合はもちろん一種類ですが、調剤では、最高5種類の漢方薬が書かれた処方箋を受けたことがあります。この時は、食前に2種類、食後に2種類、頓服で1種類、漢方専門の先生でしたが、お電話をすると、詳しく何故そのような処方になったのかを教えてくださいました。保険が通るかどうかとの問題もありますが、2種類から3種類までが一般的です。

松田邦夫先生は、まずは1種類で治療することが原則です、とお話ししてくださいます。やむを得ず併用する場合も、ルールがあります。一度、補中益気湯と人参養栄湯が一緒に処方された処方箋を受けたことがありました。そんなに疲れているのかなぁと思い、似たような漢方薬なので疑義照会をしたところ、今まで補中益気湯を使っていたけれど、人参養栄湯に変更したが、前の処方も残っていたということでした。これは原則としてお互いに併用しない処方です(ファーストチョイスの漢方薬P15)。柴胡剤同士の併用も原則として行われないとされています。

併用の際は、甘草、麻黄、大黄などは、重なることがあるので、総量に気をつけるようにしています。処方監査の際は、是非確認していただきたいと思います。松田邦夫先生の陪席をさせていただいた際に、この患者さまには、今日はいつもの処方に大黄甘草湯かなと思ったことがあったのですが、その際は、「今日は大黄だけを少し足す事にしましょう」とおっしゃいました。この患者さまは煎じ薬を使っていらっしゃいますので、大黄だけを足すことができます。煎じ薬は難しそうですが、いい面はたくさんありそうです。

上手に組み合わせることができれば、ものすごく良い治療効果を上げることができるそうですが、今はシンプルな処方を使われることが多いそうです。これは、大塚敬節先生も同じとのことです。

先日、新見正則先生に保険適応エキス剤で使っているのはいくつ? との質問をしたのですが、多く見積もって半分くらい。これは、いろいろな診療科の患者さまを見ていらっしゃるので、あまり使わないけれど、この症状にはこの漢方というのがあるからのようです。日常的によく使う処方は、40種類くらいかなと数えました。この動画も、漢方jp YouTubeチャンネルにて近日公開予定です。チャンネル登録すると、更新情報が届きますのでお勧めです。

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