継続処方、甘草には注意しながら賢く漢方薬を使って欲しい【漢方薬剤師が解説】

継続処方、甘草には注意しながら賢く漢方薬を使って欲しい【漢方薬剤師が解説】

漢方.jp編集部から「ある薬剤師の先生が書かれた『これはいけない』と思う漢方処方ベスト5!という記事があります。これに対して中山先生はどう思われるかご意見をください」とのご依頼をいただきました。

私は拝見させていただきまして、「この記事は、薬をただただ漫然と飲まず、そして甘草という生薬は少しの注意が必要になりますので、そこに気付いて欲しいというとてもいい記事です。」というのが正直な感想です。

いろいろなご意見があると思いますが、ほぼ毎日、漢方jpの記事とYouTubeチャンネルの動画を見ているモダン・カンポウ実践薬剤師からの感想をコラムに記します。

その記事でこれはいけないと言っているのは、『主に甘草含有製剤の漫然とした継続処方』でした。

これはその通りです。これは新見正則先生の講演会で「甘草、大黄、附子、麻黄に気をつけて!」と言っているところに該当します。特に、甘草は、2.5g以上の場合は、薬剤師さんから「甘草の量が少し多いですが大丈夫ですか?」との電話がくるかもしれません!、お電話がきたら、「甘草の量は確認していて大丈夫ですよ!」と答えてくださいねと解説しています。そこで、記事にあった慢性的な処方に注意するべき漢方薬ベスト5を私なりの視点で考察してみます。

5位 六君子湯

『消化器症状がなくなってもいざってときに飲みたいと処方を希望する方が多いです。太田胃散買いましょう。』と元記事では書かれています。

六君子湯の甘草は1.0g。いざというときに飲みたいなら、大丈夫な量です。新見正則先生が説明しているように、甘草の副作用は個人差が大きいです。何もないなら問題ありません。「何かあったら中止!!」がモダン・カンポウの鉄則です。

いざってときには、太田胃酸ではなく、六君子湯を買った方がいいのでは?と思います。効くと分かっている薬を飲んだ方が確実と思っています。

4位 補中益気湯

こちらは漢方版ユンケルのようなものですね。甘草は1.5gと少し増えました。

記事によれば…

『栄養ドリンクを買いましょう。』

とあるのですが、栄養ドリンクにはカフェインが入っています。1本50mg入っているものが多いです。このカフェインの作用にも個人差があります。夕方1本飲んだら眠れない方もいらっしゃいます。いわゆる総合感冒薬にも1回分同僚のカフェインが入っていることがあります。一緒に飲んだら100mgです。寝る前に飲みたい場合やカフェインが苦手な方には、ノンカフェインをお勧めします。

補中益気湯は、風邪対策やインフルエンザ対策にもなります。【風邪にかかりたくない場合は補中益気湯(ほちゅうえっきとう)から】にも紹介されています。私は、少し疲れたときには補中益気湯を飲んでいます。粉薬なのでバッグに入れておくと便利です。

補中益気湯は、長く飲んでいただくことが多いですが、「何かおこったら中止!!」のモダン・カンポウの鉄則を守っていれば安心です。

3位 葛根湯

元記事では『風邪といったらすぐに7.5g分3毎食前7日分と・・・』とあります。

葛根湯の甘草は2.0g。少し増えましたが、基本的には頓服です。記事には7日分だからそんなに心配がないからと順位が低くなると書いてありましたが、風邪で葛根湯は7日分も飲むでしょうか。葛根湯は、風邪を引くかどうかわからない、まだ引いてもないときに、寒気がしてこれから大変なことになるかもって時の処方です。1時間おきくらいに3回くらい飲んで、じと〜っと汗をかいたらもう中止です。長く飲んでも2日間くらいのイメージです。その後は、柴胡桂枝湯などに処方を変えていきます。こちらも甘草の量は2gと同じです。すこし長く飲んでいただく場合も、「何かおこったら中止!!」です。

2位 抑肝散

『飲んでるとなんとなく認知症の易努性が抑えられてる気がする、やめるとまたお世話が大変だから続けてほしい、そんな方剤。』

と、そして1日3回定期処方で続けるので2位にランクインだそうです。この抑肝散の甘草は、1.5gです。この抑肝散も、補中益気湯と同じく「柴胡」という生薬が入っていて、柴胡剤と呼ばれる処方です。柴胡剤は、症状が少しこじれて慢性になってきた時に飲む処方なので、もともと長く飲んでいただく処方です。もっと皆さんに馴染みがある加味逍遙散も柴胡剤です。もともと少し続けて効果が出る処方です。「何かあったら中止!!」を大前提に、症状が改善されていい状態が続くなら続けて欲しいと思います。「漢方処方が広がるステップ」も合わせてお読みください。

1位 芍薬甘草湯

『レジェンド。処方頻度・甘草含有量・処方日数、いずれにおいても飛び抜けている。』

と記事では紹介されています。甘草は6g含まれています。確かに飛び抜けていますね。

でも、本当は頓服で飲んで欲しい処方です。芍薬と甘草という2つの生薬だけでできた処方で、本当によく効きます。漢方は生薬の数が少ないほどよく効きます。便秘でお馴染みの大黄甘草湯も同じです。<【症例集】こむらがえりに芍薬甘草湯が効かなくなった 長期使用で耐性に>にもあるように、ずーっと飲んでいると御利益がなくなるのです。甘草の副作用も問題ですが、せっかくよく効く薬が効かなくなるのはもっと問題と思っています。芍薬甘草湯は、痛みがある時に頓服的に飲んで、症状が治ったら、続けて飲むための処方に帰ることをお勧めします。

さて、漢方jpのコンテンツもたくさん増えています。ぜひ、検索して利用していただけたらと思います。

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