2019年7月27日 夕張ツムラ見学記【中山今日子先生寄稿】

2019年7月27日 夕張ツムラ見学記【中山今日子先生寄稿】

夕張ツムラ(北海道夕張市沼ノ沢281番地)を見学しました。新千歳空港から車で約1時間、本当に何もないところでしたが、素晴らしい工場と生薬を栽培している農場を見学しました。今年の3月31日でJR石勝(せきしょう)線夕張支線(新夕張-夕張、16・1キロ)が127年の歴史に幕を閉じました。工場から農場に行く途中にこの廃線の線路を渡ります。

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夕張ツムラは北海道で漢方薬の原料である生薬を栽培・調達しています。大きく3つの部門に分かれています。

 

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*写真は夕張ツムラHPより

1、原料生薬栽培

原料生薬の多くは栽培品で、医薬品の原料として一定の品質が求められており、栽培方法・使用農薬などを管理しています。北海道では、川芎、蘇葉、当帰、附子、黄耆などの生薬を栽培しています。

2、原料生薬調達・調製加工・保管

各地で調達された原料生薬は、異物や不良品が混入していないか入念にチェックします。基準をクリアしたものだけを調製加工し、品質が劣化しないよう低温倉庫で保管しています。

3、選別加工・保管

残留農薬、微生物や重金属などの品質試験を実施し、ツムラグループで定めた品質基準をクリアした原料生薬だけを、漢方製剤を製造する各工場に供給しています。

夕張ツムラの生薬生産のこだわり

①自社農場での生産も行っています

夕張市と滝川市に保有する自社農場では、一年生・多年生の各種薬用作物や、一部の薬用作物の種子・種苗を生産しているそうです。蘇葉の畑を見学しました。何とも言えないいい香りでした。

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*蘇葉の畑
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*この機械で蘇葉の葉を収穫します。

②六次産業化による生産促進

北海道内各地の生薬加工拠点を中心とした生産ネットワークを構築し、薬用作物の栽培から生薬への加工、そして販売までを協同して行う取り組みを進めています。夕張ツムラではその生産ネットワークによって、北海道のほぼ全域で生薬の栽培を行っております。

★六次産業化とは★生産者が農作物の栽培などの生産だけでなく、それをもとに加工や販売・サービスまでも行うことで生産物の付加価値を高め、生産者の所得向上や地域の雇用創出を目指すものです

③生薬生産を通じた、障がい者への就労支援を行っています。

高品質の生薬原料を生産しています

製造工程では北海道各地の畑で収穫された薬用作物を集め、乾燥、選別工程を経て、ツムラグループの基準を満たす原料生薬を製造しています。

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※フローは夕張ツムラHPより

①原料受入・チルド保管

収穫された薬用作物は傷みを防ぐため室温5℃以下で保管され、順次加工を待ちます。

②スライス

生の薬用作物を乾燥しやすいようにスライスします。

③乾燥

温風乾燥機に入れ乾燥させます。それぞれの薬用作物の形状に合わせた機械を用います。3日ほど前から蘇葉の収穫が始まっていました。蘇葉は収穫後1時間以内の乾燥を始める必要があります。4日間、温風で乾燥します。この時間管理が良い品質の生薬原料を提供する秘訣のひとつです。

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*3日乾燥した蘇葉。もう1日くらい乾燥します。

④選別

機械や熟練者の目によって異物や不良品を除去します。ちょうど川芎の選別をしていました。

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*作業の主熟度によって、座る場所が変わるそうです。

⑤保管

選別を終えたのち、品質保持のため低温・低湿下で保管します。この保管庫の低温・低湿をキープする装置にはダクトがありません。公益財団法人 空気調和・衛生工学会の技術振興賞も受賞したスッキリとした装置です。川芎の保管庫を見学しましたが、肺の中がきれいになるような素晴らしくいい香りでした。

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⑥品質試験・出荷

選別品の全ロットに対し、品質試験を実施します。

ツムラグループで定めた品質基準を満たすものだけが、医薬品の原料である「原料生薬」としてツムラに出荷されます。

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*工場を見学するためヘルメットをかぶっています。
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*夕張ツムラの皆さまと

新見正則の訪問感想は以下の動画になります。