副甲状腺って知ってますか? 全摘時に漢方は使える?

副甲状腺って知ってますか? 全摘時に漢方は使える?

乳腺の全摘術と甲状腺の全摘術はどちらが難しいかご存知ですか? 断然、甲状腺の全摘術のほうが難しいのです。理由はふたつです。ひとつは甲状腺の直ぐそばに反回神経という細い神経が走っています。細いのですが大切な神経です。

反回神経は声を出すための神経です。軽い損傷は声の変化(嗄声)を引き起こします。両側の反回神経を痛めつけると、声帯は固定し、息ができなくなります。もうひとつは副甲状腺の存在です。副甲状腺は別名、上皮小体と呼ばれます。

甲状腺の手術後に何故か、口唇や手足がしびれたり、筋力が低下することがありました。そして甲状腺の中に副甲状腺というカルシウム代謝に大切な、小さな小さな豆粒大の臓器が4つあることが解ったのです。甲状腺を全摘するときに、副甲状腺を残すことは極めて難しく、そのため全摘した甲状腺から副甲状腺を見つけて、腕の筋肉の中に埋め込んで移植する方法などが取られます。副甲状腺は小さいので、血管の吻合なしに、筋肉内に移植するだけで生き残るのです。副甲状腺は4つの内のひとつでも健在ならOKなのです。

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副甲状腺などの位置(名古屋大学医学部付属病院ホームページより転載させていただきました)

一方で、乳腺は反回神経のような怖い神経や、副甲状腺のような小さいが大切なホルモン産生臓器はありません。ですから甲状腺全摘は乳腺全摘に比べると遙かに難易度が高い手術なのです。

副甲状腺の機能亢進症という病気もあります。症状は①骨がもろくなって骨折しやすくなる、②腎結石や尿管結石ができる、③高カルシウム血症となり、頭痛、のどが乾く、胸焼け、吐き気、食欲低下、便秘、イライラ、疲れやすい、などです。腎不全から生じる副甲状腺の機能亢進症を続発性副甲状腺の機能亢進症といい、副甲状腺自体の病気のときを原発性副甲状腺の機能亢進症と称します。珍しい病気ですが、知っていないと見逃す疾患です。

このような副甲状腺の病気に漢方薬が効果を発揮するといいのですが、残念ながら無力です。