OTC医薬品とは? 漢方薬は“逆”OTCとも言える理由

OTC医薬品とは? 漢方薬は“逆”OTCとも言える理由

近年、ドラッグストアなどで耳にする「OTC医薬品」をご存知ですか? OTCとはOver The Counterのこと。カウンター越しと言った意味ですね。OTC医薬品、または一般用医薬品と呼ばれ、薬局、薬店、ドラッグストアなどで販売されている医薬品です。一方で医師が処方する医薬品を医療用医薬品と言います。昔は、OTC医薬品は、大衆薬とか市販薬とも呼ばれていました。

近年、OTC医薬品への期待は高まっています。それは「セルフメディケーション」、つまり自分の健康は自分で守るという謳い文句の普及です。言葉を変えれば、国としては医療用医薬品を減らしたいのです。医療用医薬品は保険医療費に含まれますので、負担額は最大で3割です。残りの7割以上が税金や社会保障費というみんながプールしたお金から支払われています。その額が年々増大し、国民医療費は40兆円を超えました。

確かに3割負担で済めば、医療用医薬品に軍配が上がりそうです。しかし、医療用医薬品を手に入れるには、保険医療機関を受診し、そして処方箋を出してもらい、その後薬局から薬剤を手に入れる必要があります。医療機関を訪れてから診察を受けるまでに相当の時間が掛かります。診察が終了しても、会計が終了するまで、またまた時間が掛かります。

処方せんをやっと手に入れても、今度は薬局でまた処方せんを提出し、そして薬剤の受取まで相当の時間待たされます。時間が限りなくある人でも、相当イライラする過程です。先日、自分の湿疹のために軟膏が3本必要でした。医療機関で診察までに1時間以上待たされ、診察が終了しても、会計が終わるまでまた1時間近く待たされ、そして薬局でまた1時間以上待たされました。なんと支払い額が300円、僕は3割負担ですから、実価は1000円相当の薬剤です。

つまり1000円の薬剤を300円で手に入れるのに3時間以上が必要だったのです。なんだか、フリクション(煩わしいこと)をなるべく減らすという当たりまえのビジネスでの対応に慣れていると、別世界の扱いに思えました。そうであれば、もしも薬局で希望の薬剤が手に入れば、10分以内には手に入れることができます。時間が無限にある人はいいでしょうが、多くの人は薬局で購入できるOTC薬を選択するようになると思います。時は金なりです。安全性に問題がない医療用医薬品はどんどんとOTC薬として登場するでしょう。そして医療用医薬品からOTC医薬品になった西洋薬も数が増えました。益々、増加することを期待しています。

一方で漢方は、建前上は、規則的には、医療用医薬品と同じものをすべてOTC医薬品として販売可能です。医療用医薬品を簡単に薬剤師や登録販売者の判断で供与することは副作用の観点からも看過できないと注文を付ける漢方医もいます。そんな彼らは歴史を知らないのです。そもそも漢方薬はすべてOTC薬でした。漢方が不遇の時代となった明治、大正、昭和に漢方の伝統を守ったのは薬剤師の先生方です。1976年にそんなOTC医薬品から、いくつかが医療用医薬品として認可されたのです。つまり「逆OTC」という立場が漢方薬の現状です。それが、また薬局でどんどんと売られるようになることは当然のことなのです。

時代が変わって、前述の漢方医の先生が発言するように、薬剤師や登録販売者の判断での処方では副作用が出て、国民の健康を害すると本当に思っているのであれば、漢方薬を薬局で販売することをすべて中止する運動をすべきです。自分の取り分が減るから薬局で簡単に出すなと言っていると揶揄されそうです。

逆OTCとして医療用医薬品となった漢方が、またOTC薬として一般に使用されることは当たり前のことなのです。僕は実は京都生まれです。銀閣寺の下の百万遍の産婆さんで生まれたそうです。そう母が言っていました。数年しか住んでいませんでした。そんな懐かしい京都の友人が、「天皇陛下は東京にちょっと遊びに行っているのだ。いつか京都に戻って来てもらいたい」と話しました。僕には、天皇陛下が東京にいることと、漢方薬が医療用医薬品であることが重なってしまいました。