麻疹(はしか)抗体価について|妊娠を希望する女性は特に注意【西洋医×漢方医のコラム】

麻疹(はしか)抗体価について|妊娠を希望する女性は特に注意【西洋医×漢方医のコラム】

2019年2月現在、麻疹(はしか)の流行が多くのメディアで取り上げられています。

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この記事では、麻疹についての解説と、特に注意が必要な妊娠希望の女性に対して、気を付けるべきポイントをご紹介します。

少子化が叫ばれる一方で、子どもが欲しくてもなかなか妊娠しないという方も増えています。抗体価とは、抗体(体内に侵入してきた病原体に対抗する物質)の数値で、低いほど感染のリスクが高まります。

麻疹について

麻疹は「はしか」です。風疹は「三日はしか」です。3日で終わる風疹に比べると麻疹はちょっと重篤感があります。しかし、妊娠中の方が麻疹に感染しても先天性風疹症候群のような赤ちゃんに悪影響を及ぼすことはありません。僕の理解としては、風疹は麻疹よりも軽いので胎児が生き残るのです。そして風疹に感染して生き残るので先天性風疹症候群を発症します。一方で、妊婦が麻疹に罹ると赤ちゃんを流産する可能性があるのです。先天的に問題がある子が産まれるよりも、流産したほうが良いと言った極端な正論を言う人もいますが、何よりも麻疹感染を予防すればいいのです。

まず、麻疹の症状です。ウイルスに暴露されてから発症までは1〜2週間です。前駆症状(病気の前ぶれとなる症状)が数日続きます。風邪に似た症状です。特有の白色小斑点が口腔粘膜に出きます。そして一度解熱したあとに、半日ほどで再び高熱を出します。そして発疹が全身に出現します。数日続き、その後は解熱します。回復状態に入っても2日は感染の危険が高いと言われています。そこで学校保健安全法施行規則では解熱後3日を経過するまでを出席停止にしています。

怖い合併症としては脳炎があり、1000人に1人程度です。脳炎を併発すると1/6が死亡すると言われています。ですから死亡率は1/6000になります。流産は麻疹感染が妊娠の初期では1/3に生じ、中期以降でも10%は流産すると言われています。妊婦は要注意です。

麻疹は風疹や水ぼうそうと同じく、一度感染すると一生涯免疫を獲得すると言われていました。一度罹ると二度と罹らないと言う意味です。免疫があるかないかは採血をして麻疹の抗体価を計ると簡単にわかります。

麻疹ワクチンについて

麻疹ワクチン接種は政府の方針で紆余曲折しています。27歳以上で麻疹ワクチンを受けた人は約50%と言われています。38歳以上では20%しか麻疹ワクチンを接種していません。

麻疹は、昔は誰もが子供の頃に罹る病気でした。ところがワクチン接種が普及し麻疹の集団発生は少なくなりました。たくさん麻疹が流行っていると、ほぼほぼ全員が自然感染します。自然感染が一番強く抗体を誘導できます。そして、始終麻疹に暴露されると、免疫が弱くなっても、つまり抗体価が少なくなっても、また麻疹に暴露され自然感染し、そしてある程度抗体があるので症状がでない不顕性感染(感染しても麻疹を発症しない)で終了します。そして知らず知らずのうちに、感染を繰り返し、抗体価を終生維持できたのです。これを免疫力維持のためのブースター効果といいます。

ところが、ワクチンの効果で麻疹の流行はほぼほぼなくなりました。むしろ、麻疹が発生すると一大事です。昔は、皆が自然感染した病気に対してウロウロする世の中になりました。それは社会全体として麻疹の流行がなくなったので、ブースター効果も働かなくなったのです。どんどんと抗体価が減少します。つまり抗体価が高くないひとが実は相当数存在するのです。その中に妊娠を希望する女性も含まれています。

大切なことはひとつです。妊娠を希望する女性は採血をして自分の抗体価を知り、そして低ければ妊娠していない時にワクチンを打つべきなのです。そうすれば麻疹感染による流産を防ぐことができます。

別の意見もあります。社会全体がワクチンを接種すればOKという意見です。もちろん異論はありません。麻疹抗体価が低い人もワクチンは打つべきでしょう。

ところが、飛行機が普及し、海外からの旅行者は3000万人を超えるまでになりました。海外にはワクチンを接種していない国も多数あります。そして麻疹が発症するのは感染してから1〜2週後です。すると空港の検疫を風疹に感染した旅行者がすり抜けることは防げないのです。

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わが国ではワクチンのほぼほぼの普及で、ある意味強力な麻疹の感染力に対する抵抗力が脆弱な社会になりました。ところが、外国から麻疹が持ち込まれることを阻止できないのです。つまり、一番大切なことは妊娠を希望する女性は自分の麻疹抗体価を知り、そして感染を防ぐ抗体価を下回っている時は、ワクチンの接種がマストです。この簡単なストーリーを肝に銘じて下さい。

漢方薬にワクチン効果はありません。急性発熱性疾患には、麻疹や風疹には升麻葛根湯(しょうまかっこんとう)で対応しました。感染して、そしてなるべく早く治ることを目指したのです。西洋医学の発達で御利益を得られる現代です。妊娠可能年齢の女性は必ず風疹と麻疹の抗体価のチェックをしてくださいね。最近は、さくらウイメンズクリニックの顧問をやっています。そんな指導も僕はやっているのですよ。

升麻葛根湯(しょうまかっこんとう)-ツムラ