薬剤師・中山今日子「私の漢方薬」

薬剤師・中山今日子「私の漢方薬」

みなさん、初めまして。薬剤師の中山今日子と申します。このサイトでは、新見先生の原稿に対して漢方専門薬剤師としての視点から校正させていただいておりました。このたび、新見先生から少しずつ私にも記事を書くように求められ、投稿させていただこうと思いました。初回は私が愛用する漢方薬です。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

朝起きたときにお湯に溶かして飲んでいます。以前はコーヒーを飲んでいましたが、この1年ほどは当帰芍薬散を飲んでいます。飲み始めたきっかけは、家にたくさんあった当帰芍薬散の期限が切れそうになってきたためと、コーヒーを飲む回数を減らしたいなと思っていたためです。もともと、少しむくみがあるような体質なので美味しく飲めるようです。少しおなかがほっこり温まって、体がすっきりするような気がします。以前は朝靴を履くときに昨日のむくみが残っているような感じがする日もありましたが、そういえば最近は靴を選び直すことが無くなりました。お湯に溶かすと、漢方の香りも楽しめます。

女性の3大漢方といえば、加味逍遙散(かみしょうようさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、当帰芍薬散です。加味逍遙散は、不定愁訴が多いタイプで私はあてはまりません。桂枝茯苓丸は、がっちりタイプで目の下にクマがあるようなときにはお勧めです。私は、もともと少し貧血気味で少しむくみも出るので、当帰芍薬散があっていると思います。健康診断の貧血の項目は、いつもぎりぎりのところです。自分で気を付けていないと、時々貧血気味になるようです。今は、栄養療法なども取り入れて良い状態を保っていますが、朝の当帰芍薬散も効いていると思います。

連珠飲(れんじゅいん)

これは、煎じて飲んでいます。夜、読書をしたり、音楽を聴いたり、お仕事をしながらゆっくり楽しみます。煎じ薬の最大の魅力は、ゆっくりと煎じる時間とゆっくりいただく時間を香りとともに楽しめることです。今は、マイコンの煎じ器もありますが、私はお鍋で煎じています。とろ火で30分、香りを楽しみながらゆっくり待ちます。シナモンの香りもとても良く、味もおいしいので、ゆっくりと時間をかけて1日分をいただきます。

連珠飲は、血のめぐりを良くして身体を温める四物湯(しもつとう)と水分代謝を改善して自律神経のはたら きを整える苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)を組合わせたものです。OTC医薬品として、ルビーナ(武田薬品工業)が有名です。きれいな赤い色のパッケージがおしゃれな錠剤のお薬です。更年期障害をメインに販売されていますが、四物湯が入っていますので、私のような少し貧血気味な人にもいいですし、巡りがよくなり肌もきれいになると思います。乾燥肌にもお勧めです。夕方になると少し足がむくみますので、苓桂朮甘湯の作用もあって、翌朝すっきりしています。更年期特有の症状は全くないのですが、今の私の年代に良いお薬だと思っています。

まだ、2カ月くらいしか飲んでいませんが、今、一番気にいっている漢方です。

麦門冬湯(ばくもんどうとう)

研修会場でお話をするお仕事が続くと、のどが乾燥していがらっぽくなり、少し咳が出たります。お水を少し飲んだら収まるような咳です。研修会場やホテルなどは、空調も良くとても乾燥します。飛行機に乗ることが多いと、さらに乾燥します。そんなときに重宝します。いつも持ち歩いていて、少しのどに違和感があったら飲んでいます。あれば、お湯で薄めに溶かしてゆっくり飲みます。効いている時間はあまり長くないので、症状が落ち着くまで頻回に服用します。

麦門冬は、潤いをつける生薬なので、乾燥にとてもいいです。空調が良いと目も乾燥しますので、ドライアイにもお勧めです。また、腸管にも潤いをつけるので、便秘にいいという方もいらっしゃいます。私は、快腸なので、続けて飲んでいると、おなかが少し緩くなるようです。

桔梗湯(ききょうとう)トローチ

少しのどに痛みがあるときは、迷わず桔梗湯トローチをなめます。1粒を、なるべく長い時間をかけてゆっくりとなめます。ほんのり甘みがあって、味もとても好きです。ドラッグストアで購入します。

桔梗湯は、保険適応のエキス剤や、OTC医薬品では液剤も選べます。液剤はそのまま飲めてお勧めです。桔梗湯エキス剤を飲むときは、お湯に溶かして冷やしてからうがいをするようにゆっくり飲むことをお勧めします。漢方薬は、基本温かくして飲む方がいいといわれていますが、桔梗湯は冷やして飲んだ方が効果が良いと感じられる処方の一つです。のどが痛いときは、炎症を起こしていますので、冷やした方が気持ちいいですね。

麻黄湯(まおうとう)

インフルエンザが流行している時期は、麻黄湯を持ち歩いています。少し背中がざわざわしておかしいなと思ったときに、すぐに補中益気湯(ほちゅうえっきとう)と一緒に飲みます。大体1回飲んで何事もないことが多いです。インフルエンザに罹った方とお話しした後などにも、心配であれば同じように服用します。

もし、1回飲んでもゾクゾクが続くようなら、汗が出るまで1、2時間おきに麻黄湯を飲みます。もちろん、お湯で飲みます。麻黄湯を飲んでいる時期は、眠くありません。汗が出てきたら麻黄湯はやめます。汗が出てきたら眠くなります。汗をかきながらぐっすり眠ると、起きたときには熱も下がってすっきりしています。

高熱が出ることもほとんどありませんが、40度くらいの高熱が出ても、翌日は元気にお仕事をしています。実は、インフルエンザにも罹ったことがありません。家族がかかっても隔離しませんが、大丈夫です。

葛根湯(かっこんとう)

葛根湯も持ち歩きます。葛根湯は風邪の引き始めはもちろんですが、肩や首筋がこわばって頭が痛い時にも使えます。普通の人なら大体葛根湯は飲めるので、持っていると重宝します。自分で飲むことはほとんどありません。

葛根湯は、どこの薬局でもドラッグストアでも扱っている、とてもポピュラーな漢方薬です。緊急時、お店が開いていればすぐに手に入ります。そんなときは、液体の葛根湯を選びます。1回量が1瓶に入っています。お湯割りで飲むことをお勧めします。生姜湯と飲んでもいいかもしれません。とにかく、ぞくっときたらすぐに温かくして飲むことをお勧めします。

葛根湯を買いにいらっしゃる方の大半は、少しいらっしゃるのが遅かったなと思うような方です。次回の分をぜひ買っておいてください。

肩こりや首筋のハリが強くて頭が痛いという方には、おうちに残っている葛根湯をお湯に溶かして飲んでいただきます。大抵の方は楽になるようです。痛み止めはとてもよく効きますが、葛根湯も一度試したいただきたいです。

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

麻黄湯の項でご紹介しました。インフルエンザかな、風邪かなと思ったとき、最初の麻黄湯は、補中益気湯と一緒に飲みます。本当に熱が出てしまった後には、熱が下がった後にも2、3日補中益気湯を飲みます。

補中益気湯は元気をつける漢方薬の王様です。少し予定が詰まっていて、気合を入れないと元気が出ないなと思ったときに、補中益気湯を飲みます。補中益気湯を飲んで気合を入れてもちょっと頑張れないなという時は、潔く寝ます。1、2時間でもぐっすり眠ると復活です。こういう時、私は少し体温が低くなっているようです。眠った後は暖かくなっています。やはり、体が冷えを感じるときは、体調がよくないようです。

柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)

柴胡桂枝湯は小柴胡湯(しょうさいことう)と桂枝湯(けいしとう)を合わせた処方です。中国・漢代の傷寒論(しょうかんろん)や金匱要略(きんきようりゃく)にもある基本的な処方で、応用範囲がたいへん広い薬といわれています。熱が出たり、悪寒がする、頭痛がする、あるいは吐き気がある方の胃腸炎やかぜが長引いた症状などに用いられます。具体的には、皮膚が自然に汗ばみ、吐き気や食欲不振があるような人に向いています。

また、柴胡桂枝湯はさまざまな痛みに効く薬としても知られます。けいれん性の内臓の痛みに対して用いる薬ともされ、胃・十二指腸潰瘍や、慢性膵炎、胆石・胆のう炎などによる心下部緊張疼痛に使われることもあるそうです。

胃腸風邪の時にお勧めすると喜ばれる処方です。私は、海外に行くことも多く、胃腸風邪や胃腸炎の時にあったら便利かなと持ち歩いていますが、服用したことはほとんどありません。漢方は、胃腸を整える生薬が配合されていることが多いのですが、胃腸の調子を整えていくことは、健康づくりの基本だと考えています。おかげさまでとても元気に暮らしていますが、胃腸が丈夫であることも理由の一つかなと思っています。

皆さんも、My漢方薬を見つけて、元気に過ごしてください。

この記事で紹介した漢方薬