モダン・カンポウ 外来診療での心得

モダン・カンポウ 外来診療での心得

「何か困ることはありますか?」といつも尋ねよう

西洋医学しか知らないときは、「何か困ることはありますか?」とオープンに尋ねることはなんとなく心配でした。自分の領域以外の相談をされても困るからですね。上手に自分の診療領域に関する質問となるように、イエスまたはノーで答えられる質問をしていました。しかし、漢方を手にするようになって、いつも「何か困ることはありますか?」と尋ねています。漢方を手にすると総合臨床医になれるからですね。なんでも治せる可能性があるということです。

漢方では体全体が治ることがあると納得しよう

漢方薬は生薬の足し算の叡智です。西洋薬剤はワンピークで、経験的に有効な生薬から、または土壌やカビなどから、いろいろなワンピークを探しているのですね。またはワンピークを化学合成していますね。そんなことができない時代の知恵は足し算です。いまから思えば頼りない知識でも、一生懸命治そうとしたのですね。病態論が怪しくても、体全体を良くすると言うことは結果的に可能でした。だからこそ漢方薬を飲むと体全体が良くなることを経験します。

腹診を敢えて行う必要はない

漢方を専門としている先生は、当然に漢方的腹部診察(腹診)を行うと思います。それが歴史的な漢方の診療方法のひとつだからですね。では、西洋医学の補完医療としてカンポウを使用するわれわれの立場はどうでしょうか。僕は時間があれば腹診は是非行った方がいいとおもっています。つまり、診療が忙しいときには敢えて全員に腹診はやらなくてもいいと思っています。全員に行うと決めてしまうと、外来が回らなくなります。必要なときに行いましょう。

脈は必ず診よう。スキンシップの為に

日本漢方は江戸時代に独特の進化を遂げたと言われています。腹診に重きを置いたことなどです。脈は急性疾患では大切ですが、腹診が何より漢方診察では重要と位置づけられました。外来診療では脈を診ましょう。時間は10秒ほどです。患者さんに触れることが大切と思っています。脈を診ているといろいろな変化を感じ取れますが、それが実際の処方選択に結びつくことは少ないのですが。

目標は「医師も患者も満足」、でも控えめに

漢方薬を処方するだけであれば機械でもできますね。大切なことは漢方薬を使って、それを道具にして満足感を誘導することですね。まず、目標の設定です。モダン・カンポウでは西洋医学で治らない訴えや症状を相手にします。西洋医学で簡単に治らないものがカンポウであっという間に治ることは、やはり無理なことが多いのです。そんなときに、完全に治るという目標をお互いが持つと不幸ですね。少しでも良くなりましょう。そんな目標で良いではないですか。

患者さんと一緒に適切な漢方薬を探すことを楽しもう

モダン・カンポウでは現代西洋医学で治らない症状や訴えがメインターゲットです。現代医学で治らないのですから、カンポウでも当然難しいのですね。そんな時に、リラックスして、患者さんと少しでも症状の改善に有効なカンポウを探すことを楽しみましょう。そんな立ち位置が大切です。そして患者さんの訴えに真摯に耳を傾け、カンポウがその症状にどの程度の変化をもたらすかを楽しみながら追求していきましょう。その先に解決があります。

最初から当たることを期待しない

大胆な発想です。西洋医学的処方方法では考えられない立ち位置です。でも西洋医学の補完医療としてカンポウを使用する、つまり西洋医学で治らない訴えや症状に漢方薬を使用するときに、そんな簡単に最初から治るわけがありません。むしろ、最初から当たらないとリラックスして構えて、そして漢方薬に診断させながら、最も適切案漢方処方を探していくことが肝要です。くすりに診断させることが作戦のひとつだと腑に落としましょう。

漢方治療は養生のひとつ

漢方治療は養生のひとつと思っています。生活習慣の改善をおろそかにしてはカンポウも無効ということです。つまり生活習慣の改善あっての漢方治療です。それをないがしろにしてはカンポウの有効性に限界があります。漢方薬は処方するのですが、処方するにとどまらず、いろいろな生活指導も必要です。つまりカンポウを使用して、患者さんの生活に介入することが必須です。患者さんの全体、そして生活全体を診ることが肝要です。

「罹った年数の半分必要」

モダン・カンポウの基本的立ち位置は、現代西洋医学で治らない訴えの治療です。患者さんに「カンポウでも試してみますか?」と尋ねると、「どれぐらいで治りますか?」と反対に質問されることがあります。そんな時には、「大塚先生は、罹った年数の半分必要と言っていたそうですよ」と答えています。まず少しでも良くなるように頑張りましょうと言い添えればいいのですね。そんな早急に魔法のように、さんざん苦労している症状が治る訳がありません。

患者離れを潔く

モダン・カンポウで処方を変更しながら、適切な治療を探すのも、4から5回と思っています。それぐらいの数を処方して全く病気や訴えの変化が見られないときには、「僕には手に負えない」と潔く言いましょう。患者さんに他の医師を探すように促しましょう。また新たに違った見方をする医師が解決法を発見するかも知れません。同様に、他の先生がカンポウを処方して治らない患者さんが自分の治療で治ることも経験します。 「後医は名医」といいます。

漢方薬は正しく読めるように。格好悪いから

西洋医学の補完医療としてカンポウを処方するに当たって、またそれを説明するときに漢方薬の読み方が間違っていたのでは格好悪いですね。患者さんからの信頼も得られませんね。カンポウを書けるようになる必要はありません。しかし、正しく読めるようになりましょう。最初は番号でカンポウを覚えるようになりますが、いずれ番号よりはカンポウ名の方が便利になります。

保険病名は出来るかぎり整合性を合わせてつけよう

西洋医学の補完医療としてカンポウを処方するに当たって、健康保険の適応であることが絶対条件です。だからこそ、保険診療施設で補完医療として併用して使用できるのです。保険外診療であれば、他にも有効なものがあるかもしれません。僕が敢えて保険診療にこだわるのは、あまり高額な診療費用を必要とせずにカンポウが処方可能だからです。そうでなければ日本国民全体の健康に貧富の差なく貢献することができなくなります。