モダン・カンポウ 効果増強の鉄則

モダン・カンポウ 効果増強の鉄則

西洋医学的な考え方と同じで、内服回数を増やそう

薬の効果を増すために内服量や、内服回数を増やして、1日あたりの総量を増やすことは西洋剤では当たり前ですね。麻黄が入っていないカンポウである麦門冬湯や五苓散は、1日あたりの総量を増やした方が効果が長く、そして有効に現れることがあります。麻黄がないので、増量しても副作用は通常起こりません。1回量を増すよりも内服時間を短くして頻回に内服することが通常効果的です。

薬の効果(薬力)が強いものを使用する。内服回数は同じで

フローチャート漢方薬治療の花粉症に対する第一選択は小青竜湯です。生薬麻黄が1日量で3グラム入っています。小青竜湯で効果がないとき、効果が少ないときは、越婢加朮湯に変更です。越婢加朮湯は麻黄が1日量で6グラムです。エフェドリンを含有する麻黄に効果が依存していると考えると越婢加朮湯が小青竜湯よりも薬力が強いことになります。効かない時は薬力の強いものを使用するというのは受け入れやすい考え方ですね。

敢えて麻黄剤を併用する

フローチャート漢方薬治療では花粉症には小青竜湯で無効時は越婢加朮湯です。麻黄の量がそれぞれ1日量3グラムと6グラムです。別の手段は小青竜湯の投与回数の増加です。1日3回を4回、5回とすることも出来ます。もうひとつの方法は敢えて麻黄剤を併用することです。小青竜湯+麻杏甘石湯、小青竜湯+麻黄附子細辛湯は結構行われる併用方法です。ともに麻黄は4グラムありますから、小青竜湯との単純な併用では麻黄が7グラムとなります。著効することが多々ありますが、注意が必要です。

副作用のない脇役を加える

花粉症のカンポウは、第一選択が小青竜湯です。麻黄が1日量で3グラムです。効果が今一歩の時は、①小青竜湯の内服頻度を増す、②麻黄含有量が多い越婢加朮湯にする、③麻黄附子細辛湯などの麻黄剤を敢えて併用するなどの方法がありますが、他には麻黄を含まない漢方薬を併用する方法は安全で有効です。苓甘姜味辛夏仁湯や苓桂朮甘湯などを併用するのですね。麻黄が大切ですが、麻黄以外の脇役でも対処可能です。その併用ですね。

附子の併用。1日1グラム毎に増量し、6グラムまでは基本的に安全

附子は乾姜とならんで強く温めるための代表的生薬です。附子末はエキス剤でも使用可能ですから、附子のみの増量をすることが出来ます。附子は温めるだけではなく、諸薬の効果を増強する働きもあるといわれています。ですから、附子含有のカンポウでは、附子を増量した方が有効です。一方で附子はトリカブトを減毒したものですから少々の注意が必要です。ぼつぼつ増量していけばまったく問題なく使用できます。

内服量を減らしたほうがいい場合がある。そんな馬鹿な。慢性下痢の真武湯など

カンポウでは内服量を減らした方が有効となることがあります。西洋薬剤に抵抗性のある慢性下痢に対して真武湯を処方するときに経験しやすいことです。また、高齢者では真武湯に限らず内服量を減らさないと効果が出現しなかったり、内服量を減らした方が効果が増すことがあります。そんなこともあるのだと日頃から理解しておくことが大切です。カンポウを多数処方するようになると経験することです。

バランスの変更。エキス剤でも結構できる

温清飲は黄連解毒湯+四物湯です。冷やす漢方薬である黄連解毒湯血虚に有効な温める効果がある四物湯を合わせたものです。不思議なカンポウです。こんなときは、そのバランスを変更するとさらに有効となることもあります。温清飲に、黄連解毒湯または四物湯のエキスを微妙に加えることで可能となります。また、黄連解毒湯エキスと四物湯エキスを分量を変えて合わせて処方してもバランスの変化は誘導可能です。

全体処方と部位別処方の併用。治頭瘡一方 + 十味敗毒湯など

現代西洋医学で治らない湿疹の漢方治療薬は、フローチャート漢方薬治療では、十味敗毒湯、温清飲、消風散、荊芥連翹湯と並んでいます。また、慢性湿疹は部位をキーワードに処方可能で、頭がメインの湿疹やアトピーには治頭瘡一方陰部の湿疹には竜胆瀉肝湯、ニキビには清上防風湯、手の湿疹や手荒れには桂枝茯苓丸加薏苡仁や温経湯です。そこで、無効例には十味敗毒湯、温清飲、消風散、荊芥連翹湯と上記を併用する方法もありです。

便秘の解消 特に皮膚疾患では。大黄には駆瘀血効果もある

カンポウを有効に効かせるためにはカンポウで便秘を解消することが大切です。特に皮膚疾患では便秘は禁物で、不自由がない程度の下痢にすることがいいと言われています。煎じ薬では大黄を加えることで簡単に便通のコントロールができます。エキス剤では麻子仁丸または潤腸湯を就寝前に内服して便通を整えます。たかが便秘ですが、されど便秘です。まず便通のコントロールが大切です。

アツアツで飲む。通常の漢方薬は温服。下痢の真武湯は熱服で

カンポウエキス剤は高級インスタントコーヒーのようなものと患者さんに説明しています。お湯に溶かすと、または水に入れて電子レンジでチンすると焙煎コーヒーに近くなるという意味です。お湯で飲むことを温服といいます。お茶の熱さぐらいです。一方で熱服というのはアツアツで飲むことで、下痢に対して真武湯を内服するときは熱服がなんといっても効果的だと言われています。舌がやけどするような熱いお湯でフーフーしながら飲むと言うことです。

ショウガを入れる。スーパーで売っている生姜をすり下ろして

大塚敬節先生は、呉茱萸湯や小半夏加茯苓湯の生姜は、八百屋の根ショウガを入れるように患者さんに指導していました。分量は1日量が親指の頭大だそうですが、だいたいの目安です。エキス剤でもこれを応用すると効力が増すと思われています。生姜湯も簡単に手に入りますので、生姜湯にエキス剤を溶かしても良いと説明しています。

補う治療を 気長に時間をかけてゆっくりと少しでも実証になるように

カンポウの効きがいまいちだというときに、体力気力をつけるカンポウを併用するとよいことがあります。参耆剤や人参剤、建中湯類などを用いる方法です。気長な作戦です。体質改善の戦略ですこしでも実証にしようということです。虚証過ぎる体質からの脱却です。長く飲む必要があります。本人が元気になることを体感できるカンポウを1年以上処方して、それから他のカンポウに変更します。

母子同服。子供の気が高ぶるのは、母親の気の高揚が伝わるから

抑肝散が記載してある昔の本には、母子同服ということが書いてあります。子供の気が高ぶった状態に抑肝散は有効なのですが、抑肝散を母親にも飲ませようという考え方です。母親の気の昂ぶりが子供にも伝染すると考えたのでしょう.今の世の中でも、むしろ今こそ必要な考え方かも知れません。そんな効果増強の方法もありですね。