インフルエンザワクチンは必要?不要?【西洋医×漢方医のコラム】

インフルエンザワクチンは必要?不要?【西洋医×漢方医のコラム】

インフルエンザのワクチンについては、賛否さまざまな意見がありますね。これについて、私の考えを述べます。

症例報告は人を説得できるでしょうか。肯定的な人はその症例報告で自信を深めます。しかし、否定的な人を症例報告で考えを替えさせることは通常できません。

さて、わが家はここ最近インフルエンザの予防接種を行っていません。しかし、わが家は誰一人インフルエンザに罹っていません。娘は15歳になりましたが、発熱で幼稚園と学校を休んだのは2日のみです。僕は医師になってから30年以上、一度も発熱で欠勤したことはありません。家内は数年に一度発熱で寝込みますが、1から2日で元気になります。母も発熱で寝込んだことはありませんでした。つまり誰もインフルエンザには罹っていません。実は感染してはいるが悪化していないのかもしれません。インフルエンザの検査をする必要がないので解らないのです。

さて、ひとつの可能性を語ります。わが家は漢方好きです。もしも熱っぽくなると、直ぐに漢方薬を飲みます。娘は麻黄湯、僕は葛根湯、家内は麻黄附子細辛湯、母は香蘇散です。漢方の風邪、インフルエンザへの対処は、感染したら、気持ちよく体温を上げて、そして所謂免疫力を高めて、そして半日で撃退することです。感染が重篤化する前に先手を打つことが漢方の作戦なのです。ですから、風邪を引いたかな? インフルエンザをもらったかな? と感じたときは直ぐに飲みます。出来る限り早く。ですから僕のカバンにはいつも葛根湯が複数入っています。葛根湯は薬局で処方せんがなくても購入できるOTC薬でもOKです。しかし、新幹線の車内販売に葛根湯はありません。飛行機の機内販売にも当然葛根湯はありません。ですから、30分でも早く飲んだ方が、風邪やインフルエンザの出鼻をくじけるので、常に持ち歩いているのです。

漢方では気持ち良く発熱して、気持ち良く発汗して、通常じとーっと汗をかきます、そしてぼつぼつ解熱して、すっきりします。そんな経過をとる漢方薬を探すことが楽しいのです。わが家もいろいろと試して、娘が麻黄湯、僕が葛根湯、家内が麻黄附子細辛湯、母が香蘇散という結論に到りました。この順が実は和漢(日本の漢方)でいう、実証から虚証に並んでいます。実証はがっちり、虚証は華奢と言い換えても和漢ではほぼほぼ整合性が合います。

そんな自分に合う漢方を見つけたので、わが家はインフルエンザワクチンの接種が不要と思っています。なぜなら、人から風邪やインフルエンザをもらって、漢方で出鼻を挫けば、それが一番有効なワクチンになるからです。僕は外来ではマスクはしません。インフルエンザの患者さんを拝見するときもマスクはせずに喉を見ています。マスクはしていませんが、桔梗湯を入れたペットボトルを脇に置いて、頻回に口に含んで飲み込んでいます。時にはうがいをして、そのまま飲み込んでいます。

また、疲れたり、ちょっと体調がすぐれないときは、家族はみな補中益気湯を飲みます。これは朝鮮人参と黄耆を含む参耆剤で、インフルエンザの予防効果があると思っています。

しかし、わが家の症例報告をしても、漢方好きは漢方の有用性に自信を深めますが、漢方嫌いを説得するにはまったくの力不足です。

そこで、まず補中益気湯の効果を確かめるために2009年の新型インフルエンザの流行時に、公益財団法人愛世会愛誠病院の職員を補中益気湯を内服した群と、内服しない群に分けて、そして新型インフルエンザの発症を比べました。
Mortality from pandemic A/H1N1 2009 influenza in England: public health surveillance study(英文サイト)

なんと明らかな統計的有意差を持って、補中益気湯は新型インフルエンザの予防効果を示したのです。上記の結果から、補中益気湯は風邪やインフルエンザの発症を予防する効果がありそうだと思えます。また感染しても麻黄湯、葛根湯、麻黄附子細辛湯、香蘇散を上手く使えば、悪化することもなさそうです。

こんな結果は、同じようなイメージを持っている人に共感を得てもらうには役に立ちます。しかし、インフルエンザワクチンが不要とまで言い切るにはまったく持ってデータ不足です。そしてそんな提言をするつもりもありません。

しかし、インフルエンザワクチンを打ってもインフルエンザに感染している人は多数います。厚生労働省のHPを見ても、インフルエンザワクチンに予防効果があるとは断言していません。発症したときに症状を軽減できると謳っています。

では、どうすればいいのでしょうか。インフルエンザワクチンを接種して、その上で漢方薬で対応すればいいのです。お金があまり掛からず、副作用が希であれば、試してみればいいのです。そんな経験知を重ねてよりよい日々を送ることが実は大切です。