不妊についてわかりやすく解説【西洋医×漢方医のコラム】

不妊についてわかりやすく解説【西洋医×漢方医のコラム】

私はウィメンズクリニックの顧問をしています。週に1回の漢方外来と、月に1回不妊の勉強会をしています。産婦人科の専門医ではありませんが、外科医として、漢方医として、そして免疫学の研究を行なっているサイエンティストとして、不妊をわかりやすく解説します。

さくらウィメンズクリニック

妊娠とは

精子と卵子が受精し、子宮に着床して、約280日後に出産します。厚生労働省の平成29年(2017年)人口動態統計によると、1年間の出産数が94万6065人で、50歳以上で出産した人が62人もいます。50歳以上で第1子を出産した人が39人もいるのです。

一方で、14歳以下で出産した人も37人と記載されています。50歳刻みの統計にて、最高齢が何歳かはこの統計からは不明です。

妊娠希望のカップルは6ヶ月以内に約65%が妊娠し、1年以内には約80%、2年以内に約90%、そして3年以内に約93%が妊娠します。そして、母胎の年齢が35歳から妊娠の可能性が徐々に減少してきます。そして妊娠しても流産する可能性が増加します。

ザックリ言うと、不妊で受診したカップルが妊娠する可能性は、35歳未満では30%以上ですが、35歳以上では約25%前後になり、その後低下していきます。45歳以上で妊娠することは相当難しくなります。

不妊の原因

精子や卵子の異常

精子と卵子が作られなければ妊娠しません。精子は睾丸で作られ、作られた卵子を卵巣が保管しています。睾丸や卵巣が存在しなければ妊娠しません。また存在しても問題があれば妊娠しません。

精子や卵子が子宮に行けない

精子と卵子が一緒になることを受精といいます。受精して着床する場所は子宮です。正確に言えば、受精する場所は卵管でもOKです。その後子宮に受精すればいいのです。卵管に着床してしまうと、折角受精しても子宮外妊娠となって出産できません。

まず、小さな小人になって外陰部に降りましょう。膣に入って、子宮の入り口(子宮頚部の子宮口と言います)から子宮に入ります。そして子宮の上の方の両側はラッパの様な卵管があって腹腔に開いているのです。卵管は10cmぐらいあります。ちなみに子宮は洋梨の様なイメージです。卵管を辿っていくと、腹腔に出て、そしてその先に卵巣があるのです。卵巣が卵子の保存場所です。この中で一番細くなって卵子が通過できなくなる場所は卵管です。卵管が閉塞していれば妊娠できません。だって、卵子が子宮に辿り着けず、精子と出遭うことがないからです。

次に精子のお話です。精子は尿道を通って、そして射精されます。精子がちゃんと作られていながら、射精できないということは稀です。卵管閉塞のような病態は男子ではまれです。一方で、勃起しないと、膣にペニスを挿入できません。つまりそもそも精子を女性の体に届けられません。

出遭ったが受精しない

精子と卵子は他人です。他人が一緒になることは通常ないのです。移植医療では他人の臓器は拒絶反応を起こします。拒絶反応が起きないのは唯一、一卵性双生児の場合のみです。こんな免疫学的には不可思議なことが受精なのです。受精すると受精卵は、半分が母親の遺伝子、半分が父親の遺伝子です。つまり半分は他人なのです。将来、ご両親のどちらかが腎臓移植が必要になったとしましょう。腎臓はふたつあります。お子さんが片方を提供するとします。その腎臓が母親、または父親に移植されると拒絶反応が必ず生じます。なのに、受精卵が子宮に着床するときには拒絶反応が起きないのです。不思議でしょう。こんな不思議なことを乗り越えて受精、着床、出産となります。

着床したが流産してしまう。

これも免疫学的な拒絶反応の可能性もあります。多くは原因不明です。不育症と言われています。

不妊治療とは

タイミング相談

まず、正しく性交渉しているかが大切です。精子も卵子も寿命は約2日です。排卵日から2日以内に性交渉しないと精子と卵子は出遭いません。排卵日は女性が基礎体温をつけるとわかります。まず、不妊で悩む方は基礎体温をつけて、不妊クリニックを受診しましょう。

人工授精

これは精子を持参してもらって、それを洗浄して、子宮に入れるのです。「人工」と付いていますが、やっていることは精子の洗浄と、子宮への注入です。妊娠率は10%よりやや低いと言われています。

体外受精

これは卵子も取り出して、精子も取り出して、そして体外で培養して受精させ、受精卵を子宮に戻します。卵管閉塞があってもOKですし、精子の運動能力が低くてもOKです。約25%が妊娠します。

顕微授精

こちらは卵子に顕微鏡を使って精子を機械的に入れます。体外受精の延長です。そして受精卵を子宮に戻します。

卵管開通術

卵管が狭い、または閉塞しているときに卵管鏡下卵管形成術(FT)で閉塞している卵管を広げることが出来ます。不妊治療は格段の進歩を遂げています。挙児希望の方は、まず不妊クリニックを受診してください。若いほど妊娠、出産しやすいことは間違いない事実です。ですから、35歳というポイントを決めずに、挙児希望で1年希望が叶わないときは、気軽な気持ちで受診しましょう。

さくらウィメンズクリニックより)

漢方薬の効果は

漢方は効く場面と効かない場面があります。卵管が詰まっている人が、いくら一生懸命漢方を飲んでも妊娠する訳がありません。一方で、妊娠は未だに不明な良く解らない因子が重なり合って成立します。そんな良く解らない因子の足し算の時には、脈々とした歴史を有する漢方の知識も有益です。

つまり、西洋医学の不妊治療をしっかり受けて、そしてサポート的に漢方薬を利用しましょう。不妊に使用する漢方薬は女性には、ファーストチョイスは当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、そしてセカンドチョイスが温経湯(うんけいとう)、男性では八味丸(はちみがん)と補中益気湯(ほちゅうえっきとう)と思っています。