体温が低いと風邪をひきやすいのか?【西洋医×漢方医のコラム】

体温が低いと風邪をひきやすいのか?【西洋医×漢方医のコラム】

「体温が低いと風邪をひきやすいんですか?」

最近度々こんな質問をされます。体温がご自身の体温が低いことを気にしているようです。「体温が低いと○○になる」といった報道や記事があったのでしょうか。

こんな人が見えると、まず「生きていれば体温は低くても問題ありませんよ」と答えます。

体温が低くて心配な方へ

納得出来ない方は、まず体温の測定方法を伺います。「もちろん体温計を脇の下に入れてピッピッと言ったら、それを見ます」と答えます。最近の体温計は短く、実際の体温ではなく体温の上がり具合で予測しています。ですから、低体温で心配な人はしっかりと10分ぐらい脇の下に入れておくと、多くの体温計では昔ながらの実測の体温を測定してくれます。
そして、そんな指導をしても、まだ体温が低いという人には、「婦人科の体温計を買って口の中で測定してください。」とお願いします。すると、「先生あたしの体温は結構高かったんですね」と言う人がいます。それでもまだ低いと言う人にはいろいろなお話しをします。

本当の体温は深部体温と言って、心臓と脳が温まっていればいいのです。大きな手術で全身麻酔をするときなどは、実際に心臓のそばまでカテーテルを持って行って、そして心臓に入る静脈の温度を測定することもできます。それが深部体温です。僕達は日常で深部体温を測れないので、腋窩の体温や口腔内の体温で代用しています。

体温が低いと風邪になりやすいのか?

さて、「体温が低いと風邪に罹りやすいのですか?」と質問されることもあります。答えは「体温が低くても風邪になりやすいことはありません」です。そんな時僕は、「生理があるご婦人は排卵前と排卵後で体温が0.5度も違うんですよ。すると生理後から排卵前までの体温が低いのですが、そんなこと聞いたこと、または体感したことありますか?」と尋ねます。だいたい低体温で相談に来る人は女性が多いので、こんな質問が腑に落ちるようです。

そして子供は体温が高く、そして年齢を重ねると体温は低下してきます。3世代のかたは是非体温を比べて下さい。高齢者が特に風邪を引きやすいこともなく、老人保健施設が特段風邪の発症率が高いとも限りません。こどもも風邪同じようにひいています。

大切なことは風邪を引きそうになったら発熱できることなのです。この原理をしっかりと利用しているのが漢方薬です。漢方薬は風邪の引き始めに飲んで、そしてじわじわと体温を上昇させて、免疫力を高めて、じわっと発汗して、風邪やインフルエンザを撃退しているのです。大切なことは、いざと言うときに発熱できる環境なのです。漢方好きなひとには、自分が風邪気味の時に体温を上昇させて、そして気持ちいい汗がでる薬をいろいろと試して最良のものを知ってもらいます。風邪気味になることはしばしばありますから、その度に漢方薬を試すのです。

参考:風邪で病院に行く必要はない!医師が伝える治癒法と漢方薬

風邪のひき始めに総合感冒薬は飲まない方が良い

せっかく体が発熱しようとしているのに、それを邪魔することは避けなければなりません。総合感冒剤の早期内服が、実は漢方とは逆の作用になります。総合感冒剤にはアセトアミノフェン、つまり鎮痛解熱剤が入っています。ですから、風邪の超早期から総合感冒剤は飲んでもらいたくないのです。風邪の超早期は漢方です。総合感冒剤を否定するのではありません。総合感冒剤は対症療法の薬が複数入っています。風邪ウイルスを退治する薬剤はひとつも入っていません。ですから、本当に風邪を引いたときが総合感冒剤の出番で、風邪の引き始めは漢方の出番なのです。漢方で残念ながら力及ばないときは総合感冒剤を使用しましょう。

総合感冒剤以外でも折角の体温上昇の足を引っ張ることあります。冷たいビールを飲むとか、アイスクリームを食べまくるとか。またお風呂に入って湯冷めするとか。風邪をひいてもお風呂はOKです。体力は少々消耗しますが、入浴したければさっと入浴してすぐに布団に入りましょう。もちろん洗髪して頭もろくに乾かさずに外出などはとんでもないです。

つまり、体温は何度でも今健康ならまったく問題ありません。大切なことは風邪の超初期に適切に体温を上昇させることです。