ジェネリック医薬品とは|漢方はジェネリックなのか?【西洋医×漢方医のコラム】
- 2019.02.25
- コラム

ジェネリック医薬品とは後発医薬品のことです。先発医薬品とは、企業が社運をかけて多大な研究開発費を投じ、そして臨床試験を行って有効性と安全性が確認されて、やっと市場に出回るのです。通常は特許で保護されている医薬品です。他のメーカーは参入できません。ところが特許が切れると、他のメーカーも製造販売できるようになります。それを後発医薬品、別名ジェネリック医薬品と呼びます。
すると、先発医薬品とジェネリック医薬品は同じとなります。確かに「先発医薬品と後発医薬品は全く同じですから、金額の安い後発品を使ってください」といった宣伝を広告媒体で目にしたり、実際に薬剤師の先生から聞いた人もいるでしょう。しかし、これは間違いです。薬効を持っている特許で守られていた部分が、特許切れで他のメーカーも作れるようになったのです。つまり特許で守られていた部分が同じなのであって、すべてが同じとは言えないのです。実際に多くは違った形をしています。
ですから、僕はあんパンに喩えて、「木村屋の美味しいあんパンがあるでしょう。それが先発品です。ジェネリック医薬品とはあんの部分はまったく同じですが、パンやゴマなどは同じではありません。つまりまったく同じではないのですよ」と説明しています。ですから、値段がどれくらい安いかでどちらかを決めて下さい。僕は大して値段が違わなければ先発医薬品がいいと思っています。ジェネリック医薬品がすごく安ければ、まずそれを使ってみて、不都合があれば先発医薬品に戻せばいいですね。
一方で、オーソライズド・ジェネリックというものもあります。これは特許が切れたので、先発品を売っていた会社が、またはその関連会社が、まったく同じものをジェネリックの値段で販売しているのです。こちらは値段が安いだけで、薬剤はまったく同一です。包装は異なることがあります。つまり木村屋の正真正銘のあんパンの安売りです。
さて、漢方はジェネリック医薬品でしょうか。漢方は生薬の足し算です。生薬の多くは植物です。ワインのブドウをイメージしてください。産地や収穫年で味が異なることは当たり前ですね。すると、同じ製薬会社の漢方薬でもロットが違うと効果が異なることがあります。違う製薬会社で効果が異なることは当然のように思えます。漢方は食事の延長のようなイメージなので、いろいろなメーカーの漢方薬を飲んで、比べてみて下さい。ワイン好きの人が美味しいワインを探すように。
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