シンプルで分かりやすい糖尿病のお話【西洋医×漢方医のコラム】

シンプルで分かりやすい糖尿病のお話【西洋医×漢方医のコラム】

わが国の糖尿病人口はこの40年間で3万人から700万人になりました。糖尿病予備軍は2000万人いると言われています。糖尿病はたくさんの素晴らしい、詳細なHPがあるので、ここでは短くて解りやすいお話しをします。

糖尿病が怖い理由

まず、糖尿病には罹りたくないですね。罹ると男性は約10年、女性は約13年短命になるからです。その理由は、糖尿病は全身の病気で①糖尿病性神経障害、②糖尿病性網膜(目のセンサー)症、③糖尿病性腎症を生じるからです。これらは微小な血管が障害されたことによる解りやすい症状です。他にも心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症、脳梗塞などを引き起こし、また高血糖(血液中の糖濃度の上昇)による致死的にもなる急性代謝障害を起こします。糖尿病性ケトアシドーシスや高浸透圧高血糖症候群などがあります。ともかく、体中にいろいろな命に関わる病態を引き起こし、その結果として平均寿命が10〜13年短くなると理解しましょう。

糖尿病をわかりやすく表現すると、失明し、人工透析になり、足を切断し、心筋梗塞になり、神経障害で悩まされるといったイメージを持つと、なりたくないと実感できます。糖尿病は字の如く、オシッコに糖が混ざる病気として認識されていました。オシッコが甘くなるのが糖尿病です。腎臓で血液は濾過されますが、糖はすべてそのザル(糸球体)を通過します。しかしその後すべて再吸収されるので、尿には糖は出ないのです。この再吸収能力を超えるほどたくさんの糖が糸球体から濾過されることが糖尿病です。

一方で、再吸収能力がちょっと障害される腎性糖尿は、ここで論じる糖尿病とは別です。あくまでも血液中の糖の濃度が極端に高くなって、そして腎臓の再吸収能力を超えた状態が糖尿病です。

なぜ、糖尿病になるのか

すると、何故、血液中の糖の濃度が極端に高くなるかを知りたいですね。糖は悪者ではありません。体の栄養を司っている大切な物質です。ここで言う「糖」とは「ぶどう糖」のことで、ぶどう糖が連続して繋がった物が炭水化物です。炭水化物を食べるとそれが分解され、そしてぶどう糖が血液中を流れて、組織を栄養しています。特に脳はぶどう糖しか栄養源として利用できません。飢餓状態になり血糖が低下すると、フラフラします。集中力がなくなります。そんな時に血糖を上げるシステムが働くのです。血糖を上げるシステムは多数存在します。しかし、血糖を下げるシステムはインスリンというホルモンだけなのです。

つまりインスリンが不足すると糖尿病になるのです。インスリンは唯一の血糖を下げるシステムなので、それを代用するものがないのです。絶対的にインスリンが不足する糖尿病をI型糖尿病と言います。インスリンを出す臓器は膵臓で、膵臓が障害されてインスリンが十分出なくなった状態です。

相対的にインスリンが不足する糖尿病をⅡ型糖尿病と言います。インスリンはほぼ正常に出ているのに血糖が高いときです。体が大きいと、それに応じたインスリンが必要になります。つまり肥満ではインスリンがより必要ということです。また、インスリンは正常に出ているが、その効き方が悪くなっても高血糖になります。

さて、悪いことばかりではありません。インスリンを適切に使用すれば糖尿病はコントロールできるのです。コントロールとは病気は治ってはいないが正常な血糖値を確保できるという意味です。つまり正常人と同じ人生が送れるのです。そしてインスリンは当然に保険適用医薬品ですよ。しかし、インスリンは内服では効果がないのです。その点甲状腺ホルモンが内服で効果があることに比べるとちょっと面倒です。

糖尿病にならないために

さて、適切にインスリンでコントロールできる糖尿病ですが、できれば発病したくないものです。そのキーワードはひとつで肥満の解消です。是非、将来の糖尿病を見据えて、若いときから肥満の解消に努めて下さい。

そして、ある程度脅かされないと糖尿病の危機感が実感できないという方は、是非毎年、ヘモグロビンA1Cを測定しましょう。糖尿病は血糖が上昇する病気ですから、血糖値に目が行きそうですが、血糖は食事をすれば上がるのです。勿論過剰な上昇は糖尿病ですが、その数値の判断は医療従事者でなければ難しいことがあります。

その点、ヘモグロビンA1Cは1から二ヶ月の血糖値を反映したものなので信頼性があり、そして比べやすいのです。健康な人は6未満を目標にしましょう。6以上の人はある時の数字だけ、つまり点ではなく、線でヘモグロビンA1Cと付き合いましょう。だんだんとヘモグロビンA1Cが下がる生活をすればいいのです。10以上の人は、まずは8未満を目標にする、そして7未満を目指します。

減量するには、糖尿病とは縁遠い食生活をするには、炭水化物の制限です。現代はあまりにも炭水化物が多すぎます。ぶどう糖の連続が炭水化物です。炭水化物はざっくり3つと説明しています。①主食、②甘い物、③くだもの です。これらは美味しい物だけに絞りましょう。炭水化物ゼロは楽しくないので僕は嫌いな思考ですし、実際に炭水化物をゼロにすることは無理です。そしてヘモグロビンA1Cが6以上の方は、特に炭水化物の制限を励行した方が、将来たくさんの御利益があると思います。

漢方は糖尿病には無力です。インスリンの作用をする漢方はありません。しかし、減量のお供には大柴胡湯(だいさいことう)は最適と思っています。大柴胡湯を飲みながら、是非炭水化物の制限をやりましょう。しかし、人生楽しみも大切です。美味しい物ももちろん頂きましょう。

ともかくヘモグロビンA1Cに着目してください。6以上になれば、一度は医療機関を受診してください。急ぎませんが、漫然と放置することで将来不幸になるのはもったいないです。