モダン・カンポウ 漢方理論をクリアに

モダン・カンポウ 漢方理論をクリアに

実証と虚証 出来るだけ簡単に。筋肉量と消化機能に比例する

実証と虚証は漢方で一番よく出現する言葉です。この言葉にも拒否反応があるときは、拒否反応がなくなるまでは、実証はがっちりタイプ、虚証は弱々しいタイプと言い換えれば、多くの文脈はつながりますし、理解できます。モダン・カンポウでは実証は麻黄が飲めること、虚証は麻黄が飲めないことと、一刀両断に決めています。消化機能が体格にだいたい比例しているからです。

実証と虚証の臨床応用  相対的なもの。実証は我慢もできる

実証の別の切り口は「我慢できること」です。麻黄が飲めて、消化機能が良い状態を暗示すると言うことです。空腹も我慢できます。一食抜いても大丈夫です。満腹も我慢できます。急いで食事ができます。便秘でも不快でありません。暑さも寒さも我慢できます。熱いお風呂も大丈夫です。虚証は反対で、一食抜いても元気がなくなるが、早食いは苦手、便秘だと不快です。暑さにも寒さにも弱く、お風呂はぬるいのが好きです。確かにと腑に落ちませんか。

実証は症状がでやすい

実証は抗病反応が旺盛であると思っています。虚証よりも実証の方が風邪に罹りにくいことに通じます。また、もしも風邪をひいても実証の人はいつひいたかが解るのですね。一方で虚証の人は「なんとなく調子が悪い日が続いてそして正真正銘の風邪をひいた」というストーリーが一般的です。モダン・カンポウでは虚証よりは実証の方が病気になりにくいし、治りやすいと簡単に考えます。将来の修正はオーケーで、まずそう理解するのがわかりやすいのです。

陰陽と寒熱はほぼ同じ。デジタルでは理解できない

漢方理論では「陰陽虚実」と言われるほど、陰陽も頻出します。陰陽は基礎代謝と考えます。子供を抱けば温かく、お年寄りの手を触れば冷たく感じることです。陰証では基礎代謝が低下し、体が冷えていますので、温める治療が有効となります。附子剤の適応ということです。八味地黄丸、牛車腎気丸、桂枝加朮附湯、麻黄附子細辛湯、大防風湯などに附子が含まれます。そんな薬が冷え症の人やお年寄り有効だというヒントです。陰陽はつまり寒熱とほぼ同じです。

六病位、表裏は時間経過 全てを覚えるのでなく時間経過との理解を

六病位は時間経過で、急性発熱性疾患のための傷寒論には、急性期から順に、太陽病、陽明病、少陽病、太陰病、少陰病、厥陰病と並んでいます。それぞれに特徴的な病態が記載されていますが、今から思えばいろいろな病気の原因で起こる急性発熱性疾患がすべて同じ経過をとると考えました。また、これを大胆にも慢性病にも応用しました。そんなことをして良いのかというよりも、処方選択に有益であったから、結果的にそうなったと思いましょう。

気虚とは「気合いが足らずに」 人参や黄耆が効く状態

アナログ感覚満載の漢方理論ですが、西洋医学的に困っている患者さんには結構役に立ちます。デジタルの限界にアナログで対処するとは理にかなっていますね。気血水は役に立つ漢方理論です。処方選択に有益だからですね。気力がない人で、参耆剤や人参剤が有効な状態を「気虚」とモダン・カンポウでは定義しています。生薬では人参や黄耆を含む漢方薬でよくなる状態と考えればわかりやすいですね。

気逆=桂枝、麦門冬、黄連、黄芩、山梔子、茯苓などが有効な状態

「明日から本当に使える漢方薬 7時間速習コース」では、気逆を「ヒステリーのような状態で、桂枝湯や苓桂朮甘湯が有効な状態」と定義をしました。これは典型的なものを挙げたので、実はもう少し処方選択からは範囲を広げた方が有益です。麦門冬、黄連、黄芩、山梔子、茯苓などを含む処方でも気分が落ち着きます。気分を落ち着ける薬を気逆の薬と思っても処方選択上は誤りではありません。最終的には患者さんが楽になることが臨床医の目的ですから。

気うつは、厚朴、蘇葉、香附子、木香などで楽になる状態

気うつは「気の巡りが悪い状態」という一般的な言葉がわかりやすくて便利だと思っています。そんな状態に、厚朴や蘇葉、香附子、木香などを含む漢方薬が有効なことが多いのです。訴えと処方を結びつける知恵があればいいのですから、これで必要十分と思っています。気の巡りが悪くなることは現代社会ではよくあることです。気うつに有効な漢方薬の処方頻度は現代社会では高いと思っています。

血虚は貧血様の状態:四物湯(当帰・芍薬・川芎・地黄)が有効

採血が出来ない昔も、貧血様の症状は理解できました。それを「血虚」と名付けたのです。現代の貧血症状は当然に含まれますが、それ以外の慢性貧血的な病態もすべて含んだものと思われます。精神症状も身体症状も含めて。そう考えると血虚も理解しやすいのではと思います。輸血が出来ない時代も一生懸命、そんな状態に有益は漢方薬を探しました。その基本が四物湯であったのです。

瘀血:牡丹皮、桃仁、川芎、紅花、大黄、川骨、当帰などが有効な状態

瘀血を治す薬駆瘀血剤と言われます。駆瘀血剤は補剤と並んで漢方らしさを表現する薬と思っています。牡丹皮、桃仁、川芎、紅花、大黄、川骨、当帰などを含む漢方薬が駆瘀血効果を持つと考えるとわかりやすいです。瘀血は、目の下のクマ、舌下静脈の怒張、臍近傍の圧痛、痔、静脈瘤などと言われますが、それらはわかりやすい症状ですが、駆瘀血剤の魅力はもっといろいろな訴えや症状を治すことにあります。守備範囲がとても広いのです。

「水毒」=「水のアンバランス」を治す。そんな漢方薬は多種多様

気血水を定義してその過不足で病態が理解出来るという考え方もあります。しかし水に関しては水毒だけですね。これは水毒を水のアンバランスと思えば、腑に落ちます。多くても少なくても水のアンバランスを水毒と定義するのです。水毒を治す漢方薬を、利水剤、駆水剤、鎮咳去痰剤とする方法は僕にはわかり易いです。利水剤は尿量が増します。駆水剤は尿量とは無関係に水のアンバランスを改善します。鎮咳去痰も水のアンバランスのひとつです。

和解剤としての柴胡剤

小柴胡湯は柴胡剤の王様です。急性期(太陽病期)を過ぎた症状に有効です。漢方理論では少陽病期と呼ばれる状態ですが、少陽病期の定義を考えるよりも、病気がこじれた状態には柴胡剤と考える方が臨床応用が効きますね。柴胡剤には炎症を鎮める作用、鎮静作用、肩凝り改善、便秘改善、熟眠作用などあります。万能薬ですね。柴胡剤単独でも有効ですが、柴胡剤ともうひとつカンポウを併用する方法はいろいろと重宝されています。

腎虚に八味地黄丸

「本当に明日から使える漢方薬、速習7時間コース」では補剤として、まず参耆剤のカンポウを10覚えてもらいました。補剤には他に補気剤として人参剤である四君子湯や六君子湯補血剤として血虚を治す四物湯類があります。そして腎虚があります。これは八味地黄丸や牛車腎気丸が効く状態だと理解すれば臨床では必要十分と思っています。そうすれば、敢えて気、血、腎の理解は不要になります。将来的に自分の仮想病理概念を持てばいいのです。

腹診をデジタルに 人それぞれだが、なんとか簡単に理解できないか

漢方的腹部診察(腹診)は日本漢方独特と言われています。また、行う先生によってやり方もいろいろです。腹診の教科書を見比べてもいろいろです。でも役に立つのですね。そうであればまずは簡単に理解しましょう。わりきって覚えて、そして臨床経験を積み重ねながら幅を広げていきましょう。腹診の図は典型的なものを示していると思いましょう。ですから解説者によって典型的な図は同一ではないのですね。僕の簡単な腹診の理解は以下です。

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