脳梗塞と手の震えについて【西洋医×漢方医のコラム】
- 2019.02.18
- コラム

脳梗塞とは
脳梗塞とは、脳の血管が詰まる病気です。梗塞とは、動脈の上流、つまり心臓に近い方から何かが飛んできて詰まることをいいます。大多数は心臓や太い血管にできた血の塊です。その一部が剥がれて、動脈の流れに乗って、どこかで詰まるのです。本当に小さな血栓であれば、通常は問題ないです。詰まっても他の血管がバイパスとして働けば、詰まった先の組織が死ぬことはありません。
ところが、脳はバイパスがほとんど出来ません。そしてほんの小さな脳の組織の死滅も大きな障害を生じる可能性があります。脳は神経信号を受け取る、または神経信号を出す中枢なのです。受け取る障害は感覚や知覚障害になります。解りやすいのでは視覚の障害です。ものが見えにくくなります。これは自覚症状なので本人しかわかりません。
解りやすいのは運動障害です。つまり手や足が麻痺します。動かなくなるのです。そして体の左側は右の脳が、体の右側は左の脳が制御しています。つまり何か起これば片麻痺なのです。手や、足が動かないときには脳梗塞を疑います。そして顔の表情が左右対称でないときも顔面筋の麻痺があります。この時も脳梗塞を疑います。しゃべり方がおかしいときも脳梗塞を疑います。
早期発見、早期対処がもっとも重要
そして大切なことは時間です。脳梗塞の原因である血栓は溶かすことができるのです。脳の組織が死ぬ前に治療することが大切で、遅くとも発症後8時間までに治療を開始したいのです。朝まで待とうと思わずに、即、医療機関を受診してください。
さて、脳梗塞時に手が震えるように見えることもあります。しかし、大切なことは、麻痺です。手の震えを見たら、手や足、顔に麻痺はないか、発語障害はないか、そして視覚は正常かなどを見て下さい。
漢方薬は脳梗塞には無力です。
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Author:新見正則 投稿一覧
1985年慶應義塾大学医学部 卒業 1998年英国オックスフォード大学医学部博士課程 移植免疫学にてDoctor of Philosophy (D-Phil) 取得 2002年帝京大学外科准教授 2013年ハーバード大学にてイグノーベル賞受賞。帝京大学医学部附属病院において国内で初めて保健診療のセカンドオピニオン外来(外科一般)を開設し、その普及に尽力してきたパイオニア。テレビや新聞などメディアでの紹介も多数。西洋医であるとともに漢方医でもあり、同科血管外科グループにおいて血管、漢方、未病、冷え症の各外来を担当。日常生活や食生活の改善指導、西洋薬・漢方薬の処方により、多くの患者の症状を改善してきた実績を持つ。