葛根湯はどのタイミングで買うのが正解?【漢方専門薬剤師が解説】

葛根湯はどのタイミングで買うのが正解?【漢方専門薬剤師が解説】

漢方の風邪薬と言ったら、葛根湯が有名です。OTC医薬品(医師の処方せんがなくても店頭で買える医薬品)としてもよく売れるお薬ですが、今買って飲んでももう遅いのでは…と思うことも多く、よくお話を伺って他の漢方薬をおすすめするって経験も、実は非常に多いです。

風邪をひきやすいのは、きっと「寒いとき」と答える方が多いはず。「風邪」とは漢方用語です。「風寒の邪(ふうかんのじゃ)」と言います。邪とは外側から攻撃してくる敵のことで、「風寒の邪」とは“寒い敵が攻めて来る”という意味。風寒の邪のひきはじめには、「寒気」や「透明な鼻水」など、からだの表面が冷やされたことで起こる症状が出てきます。

風邪はひきはじめが勝負です。風邪はからだの中に入り込む前に追い払います。風邪は、招かれざる訪問者です。風邪のひきはじめは、風寒の邪がまだ表面を攻撃しているだけですが、身体の中に一度入るとなかなか出て行ってはくれません。風邪対策で一番大切なのは、この“ひきはじめ”です。風邪をひいたかな…と思ったら、すぐさま敵を追い出しましょう!

少し背中がぞくっと寒気がして「風邪をひいたな…」と思ったときにすぐに対処することが大切です。そんな時、無意識に厚着をしたり、温かい飲み物をのんだりしませんか? これはからだの無意識の抵抗のサインです。寒い敵は“熱”に弱いため、からだを温めることで入って来にくくなります。「風邪をひいたかな…」と思ったら、まずしっかりからだを温め、風寒の邪をからだの中に入れないようにします。

さて、今まで「なんとなく…」で、解熱剤などで熱を冷まそうとしていませんでしたか? 風邪の初期の発熱は、風寒の邪を追い払うためのからだの抵抗(免疫反応)です。「ひきはじめの発熱は冷まさない!」風邪を追いはらうための鉄則です。

むしろ、体温をあげて戦います。「風邪のひきはじめには、すぐさま葛根湯」で風寒の邪を追い払います。あなたのからだは、きちんと発熱できますか?疲れやストレスに見舞われている現代人のからだは、体力が低下し、熱を出すエネルギーが不足していることが多く、うまく発熱できない傾向にあります。それでは風邪を追い払いたくてもできません!ここでおすすめなのが、『葛根湯』です。つまり、葛根湯は“からだを温める漢方薬”です。葛根湯はからだの表面を早く温めて、熱のバリア作ります。風邪のひきはじめに葛根湯を飲むことで、風邪が入ってくるのを阻止できるだけでなく、早く追い払うことができるのです。

少し寒気を感じて「風邪をひいたかな…と思ったら、すぐさま葛根湯!」すぐに飲むことが大切です。風邪をひかない一番のポイントは「早くからだを温めること」。そうすることで、早く風邪を追い払い、症状が悪化する前に治すことができます。風邪をひいたかなと思ったら…迷わず「からだを温める葛根湯!」これこそが、風邪の治し方です!

葛根湯は、すぐに飲めるように1、2回分は持っていてほしいのです。風邪をひいたかなと思ってからお店に買いに行くのでは少し遅いのです。効果を高めるために、できればお湯に溶かして飲んでほしいのですが、出先で難しい場合は、温かいお茶で飲んでも効果的です。

体力に応じて、麻黄湯、葛根湯、麻黄附子細辛湯、桂枝湯を、体温を上げるために使い分けることが大切です。この順は和漢(日本の漢方)でいう、実証から虚証の順番です。実証はがっちり、虚証は華奢と言い換えても和漢ではほぼほぼ整合性が合います。風邪をひいても、一人でお薬を買いに来られる方は、麻黄湯か葛根湯です。自分に合った漢方薬を知っていただき、それをかばんに1,2回分入れておいていただくことが理想です。

医療用の葛根湯(医師の処方せんが必要)と、薬局やドラッグストアで自由に買える市販の葛根湯はどこが違うのでしょうか。内容成分は同じですが、市販の葛根湯に含まれる生薬成分は、医療用の成分の2/3、3/4になっているものがあります。医療用とまったく同じ量の生薬を使っている「満量処方」もあります。少し早く治したい場合は、「満量処方」がおすすめです。市販の葛根湯には、液体で「満量処方」のものがあります。ここぞというときには、これをお湯割りで飲むことをおすすめします。

風邪は引き初めの治療が大事です。手洗いやうがい、休養や栄養をとるなどの日頃の養生が大切ですが、何かおかしいと思ったときに、すぐにからだを温められるように備えておくことも大切です。

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